高校教師
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「高校教師」~最終話~
いよいよ最終話!!
ぐっときたポイント4つ。
・「こうあるべきだ」の塊の新庄先生が越えた境界
・真田さんの優しい目、イエス様のような
・繭の涙ながらの訴え
・繭の怒りの表情繭の父親、二宮耕介に工具(ノミ?)を突き刺した羽村先生は、冒頭から狂人の形相。
何かをやらかしてしまったとき、不思議なことに事を起こして初めて「やるべきじゃなかった…」と気づいたりするのですね。
羽村隆夫の覚醒と後悔のスピードは速かった。
狂人→凡人→罪人→狂人→神様→子ども
みたいに表情が変わる真田さん。最後は、繭にしがみついて甘える子どものような顔で羽村先生、汽車で眠るのです。
繭もまた、聖母マリア様のような風格で、寝姿なのに神々しい母性が満ち溢れてました。さて新庄先生は、いつでも羽村先生の味方とこれまで見てきたけど、本当に分かり合えたのはこの回だけだったんじゃないのかな。
ずっと警告役だった。「そっち行ったらあかんぞ!」
「踏み外すぞ!」こんなふうに引き止めるのは、でも本当に友情だったのかなぁ。
「高校教師」の中で一番平均的な人間だったのが新庄先生だったのかもなと思えます。
日本人が好きな。
適度に暗い過去があって、嫌われてても貫く教育方針があって、で、素の顔は底抜けに明るくて人情味あふれてて。そんな人が羽村隆夫のような同僚を前にして、これまでずっと「かくあるべき」で忠告してくれてた。
「まともじゃない」物語の中で、唯一「まとも」な新庄先生の姿は安心できる存在だったけど、羽村先生にとっては救いになって、なかったんじゃないかな。
「普通」が何なのか、普通とは少し違った道を行ってるのかもしれないと思ったとして、普通に戻りなさい、まともであれと温かく声をかけられて、それってどれくらい救いになるかな。
誰かが自分にこんなに温かい言葉をかけてくれてるという思いやりに感動することはあっても、その気遣いに傷ついたりすることもあったかもしれない。
周りをこんなに必死にさせるほど、自分はヤバかったのか…!と。新庄先生は、少し変わった。
それは教師でなくなったからなのかもしれないけど、「お前はやってない」「逃げろ」と幇助して羽村先生の背中を押したそのとき、初めて羽村先生は救われたような哀しげな表情を見せたんですよね…。
刺してしまった動揺はまだ残ってはいたけども。互いの小指に赤い糸絡ませながら眠った繭と羽村先生だけど、新潟で、先生のふるさとで一緒に暮らせる!と夢いっぱいで眠りについた繭を置いて、上野駅へこっそり新庄先生に別れを告げにゆく。
もうその顔には死相すら浮かんでて、発言もなかなか怪しい。
金は要りませんとか。
新庄先生に「お前、まさかっ…」と肩をつかまれて、
「そんな勇気、僕にはありません」
と、うっすら微笑むけど、
あぁ、その笑みすら恐ろしく不気味!でも何かの執着とか現世的なものを断ち切った人は、ああいう表情するのかな…。
本当の友達になれた気がしたと互いに見つめ合うシーンは、男同士でも相当いいものですね。
やっと通じ合えた気がしたその日は、もしかしたら2人にとって最後かもしれない日。
そんな気配を感じた新庄先生ぽつり。
「なんでこんなことになってしもたんやろ…」
ゆっくりと羽村先生。
「紙一重じゃないですか?紙一重でみんな…」
(と、そこで2人を隔てるように電車の扉は閉まる!)
扉で仕切られた2人は、やっぱり「こっち側」と「向こう側」。
住む世界も、もう違うのですね…。電車って乗るとホームより少し高くなってるから、身長がさほど高くない真田さんでも赤井さんを見下ろす格好になる。
その真田さんの瞳が神様みたいでねぇ…!
処刑に向かいます…さようなら…
あなたの幸せをお祈りします…そんな表情をにじませる真田さんはやっぱりすごい俳優さん。
最高…!私が最終話で一番ぐっときたのは繭の台詞。
「誰がいても、いっぱいいても、先生がいなきゃ1人なのと同じだよ!」出た、いっぱい!
桜井さんは、お父さんが死ぬ間際の時も、この物語全編においても、泣くシーンであまり涙を見せていなかったように記憶してるけど、この台詞を吐いた時はぼろぼろ泣いてました。
だからいっそう胸に迫ったのです。お父さんが死ぬ間際、いろいろあった父娘だけど、やっぱり2人の間には誰も理解できないような絆があるらしく、繭はお父さんのこととっても愛おしそう。
でも父親に、
「そんなにあの男が好きか?」
と聞かれて、こっくりうなずく繭にも泣けました。最終話、実はいくつか謎が残った箇所があったのですが、その一つが、お父さんはなぜ最後にこんなに寛容になったのかなということ。
羽村隆夫に刺されて、2人の愛には負けたよ…と全面降伏したということでしょうか。
それとも、元々どこか異国で死ぬつもりだったから、何かが据わってたのでしょうか…。あともう一つの謎は、二宮耕介を刺してしまった自分を責める羽村先生に繭が、
「先生は悪くないよ。あたしのためだもの」
と言うのだけど、それに対しての羽村先生の台詞。
「いや、誰のためと言うなら僕のためさ。
君を・・・」「君を」なんなのだろうな。。
「君を僕のものに…」とか?
それとも、
「君を助けることで僕は…」とか、結構長くなりそうな論理なのかな。先の「紙一重…」のとこも、??と思ったのですが、こちらはなんとなくわかります。
でも「君」を、一体どうすることが、父親を殺害しようとする動機に繋がったのだろうか。そして最大の謎、2人は最後どうなったのかと、
あと、羽村先生は1人でどこへ向かおうとしてたのかということ。
これは見た人の想像力に任されているとこかもしれないな。電車に乗ると、繭が空港へ行く前に急いで先生へ宛てて書いた手紙をゆっくり破り出す羽村先生。
でも、繭との出会いや出来事は忘れようにも忘れられない。
顔洗いに席立ったり気を紛らわせようとするけど、席に戻ればやっぱり、自分が繭を傷つけた言葉の数々も思い返され…。と、そこで通路の扉が開く!
ぷんぷん怒った桜井さん!!
萌え~桜井さんの憤慨のお顔は、そりゃもうふるさと連れてってくれるって言ったくせに…とか、1人で行くな、ばーろーとか、相当ご立腹であるというのはわかるのだけど、そこはやっぱ桜井さんの寡黙そうなお人柄とか、繭の孤高さとかがにじみ出てて、あとうっすら、「てんめぇ…」というヤンキー感も私には感じられ、あゝこういう再会シーンで良かったなとつくづく感じました。
真田さんは一瞬「…!」という動揺を見せたものの、すぐまた優しい表情に変わり。
どんな感情がよぎったのかな。。怒り気味の女性と、それを受け止める優しげな男性。
こんな関係が理想なのかもな…。
そして必ずこのあとコミカルな空気に転じるであろうぎこちないよそよそしさがたまりません。弁当食べる2人は、もう楽しそう。
その雰囲気は、ロケですっかり打ち解けた真田さんと桜井さんでした(笑)
そして最後の羽村隆夫の独白です。
「僕は今、本当の自分がなんなのか、わかったような気がする。」
「いや、僕だけじゃなく人は皆…」「人は皆、愛し愛される息吹を感じたい、ただそれだけの無邪気な子供にすぎなかったんだ」
(要約)電車を降りてローカル線に乗り換える2人はとても寒そう。
日本海がすぐ迫る駅。
青海川駅でしたっけ。
行ってみたい所の一つです。手に息吹きかけるあのベタな仕草。
「真似すんなよ」
あー最高に楽しそう。
しかし物語の終わりも近い!汽車では2人、小指に赤い糸結わいて、指を互い違いに絡ませて、ぎゅっ…と、えらく固く握り合ってる。
固く結わくために、繭が蝶々結びの輪っかを口できゅっ…とするシーンの美しさ!
そしてこれまた妙に力強く両手で繭の左腕にすがる羽村先生。またここで疑問発生。
繭は、固く握った2人の手の上に置いてた右手をそこから離して、右の肘掛けの上に置き直す。
つつーと赤い糸も伸びて。
どうして手を離したのかな。
その糸の強調のため??
最後の脱力シーンの伏線ってだけ?でも肘掛けに手を置いた繭はとっても威厳がある。
繭のあご下には羽村先生の頭。
マリア様のよう。ってか王様の風格。
美しい。
どうしてこのポーズを2人の完成形としたんだろう。でもこのストーリーの何がよかったって、繭はいよいよのときは年長の羽村先生にすがりつくことはあっても、先生を想う角度は終始斜め上から。
「守ってあげる」
それを男性に言わせたりなんかしないで、
「大丈夫、あたしがいるもん」
と、出会った時からそうしようと心に決めた繭で。そういえば、TBSのドラマっていつでも女性は凛と描かれていたかもしれないと気づきました。
特典映像として収録されていた伊藤一尋プロデューサーのお話によると、野島伸司さんは当時、ドラマのお仕事はほぼフジテレビで、フジとはタッチの違うTBSでドラマをやりたいと思われていたそう。
「ふぞろいの林檎たち」のようなドラマを。はぁ~あのスピリット入ってましたか!
伊藤プロデューサーは最後にこう漏らしてました。
「高校教師を越えたいんだけどなかなか越えられない。」
「たぶん越えられない。」伊藤一尋さんが手がけられた作品をチェックしてみたら、好きだったものがたくさんありました。
「オヨビでない奴!」「痛快ロックンロール通り」「うちの子にかぎって…」「パパはニュースキャスター」「ママはアイドル!」そしてそして!
私が今期一番好きなドラマ
お昼の「花嫁のれん」
これは、脚本は小松江里子さんが手がけられてることは知ってたのですが、
伊藤さんと小松さんは、なんと夫婦!この奇跡の連鎖には興奮しました。
「高校教師」が私の好きなドラマ第1位から陥落すること、ないかもなと思ったのは、当然といえば当然なのかもしれません。
制作者が「越えられない」と言ってるのだから。
でもムードは全く違ってても、毎日昼に笑えるようなワクワクは受け取ってます!特典映像のインタビューで真田さんがおっしゃってたことの一部。
「羽村隆夫は社会からはドロップアウトしたかもしれないけど…」"けど"
ここにいろんなことが詰まってるドラマだったし、私もこのことについていっぱい考えた。
「普通って何だ!普通って!」
最後に思い出されたのは、峰岸徹さん演じた繭の父、二宮耕介の台詞。
そして、まさか自分が普通ではない道を歩むなんて、夢にも思ってないような羽村隆夫の表情。・・・・
あーDVDを買ったとはいえ、最終話を迎えてしまった喪失感はやっぱりあるものですね。
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「高校教師」~第10話ぼくたちの失敗~
「高校教師」もあと2話と思うと、見るタイミングをむやみに延ばしてしまいがちです。
楽しみが一つ減ってしまうのを受け入れたくないというか…。
けど、「あのシーン、まだ来てないな」というかすかな記憶として残るいくつかの場面は、きっとこの2話の中に詰まってる。
それを早く確かめたい!再生オン!前話の終わりで羽村先生は二宮邸から繭を連れ出して、やっと2人きりになれた幸せは感じられるものの先の見えない不安とか、2人だけの問題じゃ済まない事情とか、あと、拭えない嫌悪感とか。
いろんなものを抱えながら一人、ビジネスホテルで眠れない夜を過ごした隆夫なのでした。朝になればホテルから自宅にいったん戻るんだけど、とある日には鍵も開けっ放しで、玄関には男物の靴。
緊張した面持ちで入った自室にいたのは、赤井英和さん演じる新庄先生。
「二宮なら、外してくれ言うて出てもらってな」いろんな事情、もう了解済みです。
繭と父親との関係も、新庄先生に相談してる模様。繭の父親の話題には、そりゃ羽村先生は敏感で。
新庄先生との会話でもムキになったり激高したり、精神が不安定な隆夫…。「疲れ切った顔しよって」
疲労感が顔に出るような恋は、幸せな恋とはやはり言えないのでしょうか。
繭は近所の公園で時間つぶし。
小さい子と砂場あそびしてる。
その子のお母さんが迎えに来て、繭は一瞬ひとりぼっちになって。
でも帰ってゆくその親子と入れ替わるようにして公園に迎えに来たのは、羽村先生。「来るって知ってたよ」
そんな表情の桜井さんに萌えました。
羽村先生のためにどこかで花を買って、それを先生に早く渡したくて走り出す繭。
そんな2人の幸せそうな光景が、砂場に置かれてた家型のモニュメントを通してフレームみたいに捉えられてる!こーれはニクい!
そんで羽村隆夫のポエム風独白。あの時の僕たちは、ただそこに砂の城を築こうとしていたんだね。
ほとんど人の来ることのない、小さな公園の片隅に…砂の城、砂上の楼閣、絵空事…。
なんか俳句みたいになってしまったけど、2人が幸せそうであればあるほど、それは永遠に続かないと言われているようで。
この短い時間だけなら許しましょう…と、天の高い所から猶予を受けているような。
でも、そんな儚さ、羽村先生もわかっていることでしょうね。いや、本当にわかっているのは繭のほうかな。
羽村先生は認めたくなくて、もう10話ではもがきっぱなしです。羽村先生がとある日に向かったのは、新庄先生にボコボコにされた藤村先生が入院している病院。
新庄先生への告訴を取り下げるようお願いしに。前話であれだけ感情を吐露したのだから、藤村先生の心持ちも変わってるだろうと思ったら、たいして変わってませんでした。
「新庄先生への告訴を取り下げたら、僕が殴られるようなことをしたって認めることになる。」
(は??)
羽村先生もびっくりしてる風。
でもまだ続く藤村先生の独白。藤村先生は、本気で相沢直子を愛していたという。
正気じゃなくなっていくのがわかるほどに、と。本気で人を愛すると狂いますよ。
理性やモラルなんて何の歯止めにもなりません。
例外なく、人間はね…そう言ってみかんを握りつぶす藤村先生を見つめる羽村先生は、狂人のような目。
たぶん己のことを考えていた。そして純愛・純愛と来て、待ってました、ホラーシーン。
お部屋で少し勉強する羽村先生にコーヒーを入れる繭のかいがいしさは、とっても微笑ましい。
けど、電話のベルが鳴ると、2人の顔は一気に曇ります。
それは繭の父親からの電話であるから。留守電に吹き込まれた峰岸さんのメッセージは、ずっと聴いてたいと思うほどの大仰なセリフです。
「あの男は、お前を本気で愛してなどいない」
「ごほっ、ごほっ、うー・・はぁ…
お前がいないと・・・
節制する気にもなれないからねぃ…」(怖い!)
繭は声には出さないものの、そんなふうに表情をゆがめて羽村先生の胸に飛び込む。
んだけど、(いけないよ…)
一応まだ教師である羽村先生の理性が許しませんでした。
抱き合えない2人かぁ~。ビジネスホテルに向かう隆夫を駅まで見送りに行く繭。
その道のりの会話は高校生の恋愛のようです。「先生、あたしとのこと、いつからそんなふうに
(ちゃんと)考えてくれてたの?」
「雪の日かな、君にチョコレートをもらった。」「いつ?」との質問に
「雪の日」と答えるとはっ!!羽村先生は近いうち教師をやめて、どこかの研究室で働くために勉強を一生懸命してると。
それを知った繭は本当に幸せそうで、なんか「普通の幸せ」に手が届きそうにも思えて。
「(先生が教師辞めたら)ずっといられるもん」
「…そう簡単にはいかないさ」
「え・・?」大人になると、恋することすら2人だけの問題じゃなくなってしまう。
好きと好き同士で一緒にいられるって思う繭は決して幼いとかじゃなくて、社会のややこしさを、ただ想像もできないってだけなのかな。さて、記憶に残るシーンのひとつ来た!
電車の扉越しのキス!
桜井さんが本当可愛い。
羽村先生も、もう人目を気にするダサさゼロです。繭は1人で帰る道々、好きな人が乗っていく電車を見届ける幸せを味わってる。
帰ってくると繭はベッドで、キスする隆夫ねこと繭ねこのイラストを描いてます。
だからちっとも寂しくない。
けど訪れる峰岸ホラー。ウイスキー瓶片手に、相当酔っぱらった耕介が羽村邸の前まで来ちゃってます。
ここから二宮耕介独演開始!「ばゆ~・・・」
「・・・そうだ!なんなら先生も一緒にうちに住みませんか?
そりゃいい!とってもいい!!」何を言ってんだか…。
この人は3人で住む図をどのように描いているのか、この幼さというか異常性、それとも卑猥さ?
酔っぱらってフラフラな耕介は、滑って転んで割れたウイスキー瓶で手を切ってしまう。
ってか、自分から切りに行ってる風にも見えるけど。「参ったなぁ・・・
血が止まらない・・
傷口、流しで洗わせてくれないかなぁ。
破片が入っちまったようだ・・」そんで、血があふれるこぶしで流しのガラス戸を割って…。
「もうすぐ、行くからね・・・」のぞく目のいやらしさ!
峰岸さんって、すごい!そんで警察に連行されてしまう…。
さて、もう一人の異常メン
→藤村先生。直子は、新庄先生の告訴を取り下げるよう言うために、わざわざ藤村先生のいる病院に来ました。
「君は、さらしもんにされるよ。」
「あたし、負けたりしない。まだ人生長いし。」
松葉づえで歩くも、転ぶ藤村先生がまた無様でね。
峰岸さんといい、京本さんといい、こんなスターないい男を惨めにつまずかせるその不気味さよ…。「君もやっぱりそうだった!!
本当には愛してはくれなかった…」どこまでもエゴが漂ってます。
先生、女の子は、もっとちゃんと好きになるよ。
男より、ずっと真剣してるよ。来ました!
待っていた名シーン。
でもどこか大映ドラマみたいなんですよね。
すべての残酷さを女子の健気さで消化しようとするという。羽村先生と繭の久々のデートシーンは、今までと違う感慨が湧きました。
水族館でいつの間にかちっちゃい子たちに囲まれてる2人。
何人かを交代で忙しそうに抱っこする羽村先生。
その光景は叶えられない将来のよう。
夕暮れ時の川沿いでは、
じゃんけんぽん、ぐ・り・こ。
じゃんけんぽん、ち・よ・こ・れ・い・と。最後のデート先は学校の体育館。
存分にバスケをする2人。
ふいに繭はゆうべ羽村邸に来た父の話をする。「げっそりしてた・・・
たぶん、なんにも食べてないの。
先生、やっぱり・・・」「いつからなんだ?」
「いつから?」って、あー禁句。
「俺と出会ってからもずっと関係は続いてたのか?
実の父親に抱かれるなんて。
君は、ただそこから逃げたくなって僕と寝たんだ。」あー取り返しのつかない禁句!
繭は体育館を駆けだしていく!!これ絶対言っちゃいけないNGワードだけど、でも、こんな事情抱えた2人がこういう衝突なしにずっといくわけはない。
これが父と娘という事情でなければ、嫉妬とか邪推とかってことでどうにでもやり直しはききそう。
けど父と娘という事情が2人の壁である以上、「いつから?」に正直に答えたからって、「逃げたくなって寝た、とかじゃないよ」って必死で訴えたってさ…。じゃあ、どうすればいい?
どうすればいいんでしょうね…。ここでまた、楽しみにしてたシーン来ました!
スナックでカラオケ歌う直子と繭!「津軽海峡・冬景色」を歌う持田真樹ちゃん、かなり上手いです。
桜井幸子さんは「翼の折れたエンジェル」
大人っぽい桜井幸子さんも上手いです!
んでまた色っぽい。中村あゆみさんが歌う「翼の折れたエンジェル」にいつの間にかBGMがスライドして、
少女が真夜中の街をじゃれあって帰るシーンも、記憶に焼き付いてる場面です。「なお。あたしさ・・・
友達はなおだけだったよ」「おぅ」 「おぅ」
泣ける!
そして、もう会えないってことの伏線?
遺言にすら聞こえます。帰り道、どこかの噴水のど真ん中に座る繭。なに?このシーン。
水をふくんだときの桜井さんもまた、なかなかホラーなお姿です。羽村先生、その日は新庄先生の家で飲んでいて、繭にあんなことを言ってしまった…
って苦しい胸の内を新庄先生にこぼしてる。
そんで今度は新庄論の始まりです。「もうやめたらどうなんや。
そんな2人に何の未来もあれへん。
二宮もいずれ違う男と出会うて恋するかもしれん。
お前といるより幸せなんちゃうか?
鏡見てみ、こんなにやつれてもうて…」普通の恋愛に対してなら、じんわり受け止められる新庄先生の言葉かもしれない。
けど現実的な常識的なアドバイスなど、何一つ今の羽村先生には意味をなさなくなっている。
かといって誰もGOサインを出してくれるはずもなく、孤独を深めていくのだな…。違う、違う・・・
僕たちはもっと・・・またもや狂人のような目で、かすかに震える羽村隆夫。
高校教師で描かれる男性達って、異常さが光るほどにまぶしいのです新庄先生の部屋で見た羽村先生の夢は、ベランダに繭が洗ってくれたシャツがたくさん干してあって、部屋には繭が買ってきてくれたお花が輝いてる。
そんな夢に少しだけ希望を抱いて家に戻る…んだけど部屋に繭はいない!そんで、割れたガラスに貼ってあるのは、繭が描いた隆夫ねこと繭ねこのキスシーン漫画!
いじらしい!
けど、ちと怖い!隆夫が見つけたのは、家に帰りますとの繭の書き置き。
花はしおれてて…
ハンガーにかかってるのは繭の純白のセーラー服のみ。この事態にうろたえながら、セーラー服をしわくちゃに抱きしめる隆夫…。
いよいよやばいぞ!そしてすぐ二宮邸へ。
けど、二宮邸では何やら引っ越し作業。
その引っ越しを指揮する耕介のマネージャーらしき男性が隆夫に、
「手紙、預かってますよ。」とのこと。
突然の耕介の行動に振り回されて愚痴を言いながら引っ越し作業をするこの男性は、彫刻道具をバラバラと落としてしまう。
単に、この男性のイライラを表してたんだっけかなと思いきや、違う!恐怖の伏線…。今までになく不穏な音楽が流れて、タクシーを成田空港まで走らせる隆夫。
成田・・・
やばいよ、やばいよ!「先生、あたしは今、急いでこの手紙を書いています」
から始まる繭の手紙きたーっ!
繭の独白開始!14のとき、そう、14のとき、
あたしのお父さんは、お父さんじゃなくなった。
不思議なことに、
そのときはとっても漠然としていて、
ただおっきな波に抑えつけられているようで、
どこか自然な流れのようで
いつかふいに歪んで見えて。普通の恋がしたかった。
時々はやきもちもやくの。
ちょっとずつ、2人の間に同じ雪が積もる冬が来て。
ばかだね
自分は、ちっとも普通じゃなかったのにね。あたしは、お父さんと…
あの人と遠くに行きます。
あの人には少なくともあたしが必要なの。人が周りにいないからじゃなくて、
自分をわかってくれる人がいないから
寂しくなるんだね。
先生も時々寂しそうだったね。
できればあたしがずっとそばにいたかったな。いつか先生に恋人ができたら、
きっとあたしのことは忘れちゃうね。
けど、あたしは忘れないでいい?
ペンギンや朝顔の話、忘れないでもいいよね。
さよなら、
さようなら、羽村先生。
(with猫イラスト!)繭も直子も、普通と異常さに翻弄される女性だった。
近親相姦に強姦。
決して許されることではない、異常性の極みをゆく行為。
だけどなぜそうせざるをえなかったか。
ただ嫌悪して背を向けて無視しただけでは、誰も救われないのかもしれない。
「そっち」に行ってしまう苦しさ、みんなと同じようなチョイスをできない悲しさ。
男たちの独白を聞くと、とにかく「愛」が欲しいのだと言う。
確かな愛が欲しいために暴力行為に出るのだけど、ただただ悲しいスパイラルに陥る一方だってこと、わかってるはずなのに。空港で顔を合わせてしまった隆夫と耕介。
2人は近寄って・・・
「うっ・・・」あのとき彫刻道具が散らばらなければ…。
事態の第一発見者は繭。
でも繭の表情からはなんにも見えない。
繭に気づく羽村先生。
泣き笑いの。いつか、君と僕は
同じ一線で結ばれた優しい放浪者だった。どういうことだろう。
優しい放浪者って。
罪深い放浪者じゃなくて、優しい?
君のために
あたしのために
先生のために
お父さんのために…?(追記)この「同じ一線で結ばれた優しい放浪者」というのは、森田童子さんの言葉だったことが判明しました。
野島さんって魚座生まれなんですよねー。
魚座の深さは時に理解できないほどで、だからその世界観に惹かれていくのかもしれない。あーいよいよ最終話!
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「高校教師」第9話~禁断の愛を越えて~
とってもグロ&ホラーな第9話。
でも、これまでで一番涙がにじみっぱなしの回でした。こんなに視聴者に退屈さを感じさせないドラマって、今あるでしょうか…。
9話の始まりは、またもや狂人のような目をした放心状態の羽村先生の表情から。
それもそのはず、第8話の終わりで二宮家を訪問した羽村先生は、繭と繭の父親とのただならぬ「絆」を知ってしまったのだから。
バスローブ姿の父親と全裸の娘という異様な家族風景の中に飛び込んでしまった隆夫…。父親に・・・
父親と・・・
なんで彼女は・・・
彼女は僕と・・・そんな問いは夜が明けても途絶えることはなかったでしょう。
翌日はさすがに繭も学校を欠席したものの、その翌日はちゃんと登校。
その神経すら、羽村先生は嫌悪してるように見えました。前話で若林志穂さん演じる教育実習生にハメられてカンニングの疑惑がかけられて、追試を受けることになった繭。
2人きりの実験室では、羽村先生もたまらず一昨日のショックをにおわせて。
答案をその場で採点する羽村先生の赤ボールペンのインクが切れて、自分の赤ペンを貸す繭の姿は、相変わらず献身的に愛を注ぐ一生懸命さが漂ってます。
羽村先生はその赤ペンを返しに繭に近づいてきたとき、
「誰か、力になってくれる人…(いればいいのだけど)」
と言いかけ、繭に赤ペンを返す。
(僕には、その役割はできない)
そんなふうな心の声を、赤ペンのやりとりで表現するとは!!「もう学校には来ないかと思ったよ」
追試が始まる前に、そんな言葉で繭のことを少し責めたように見えた羽村先生。
「先生、あたしのこと、
いっぱい嫌いになったよね」野島さんって、「いっぱい」を
時々変なふうに繭の台詞に使ってきます。
でも個人的には「いっぱい」って発音する桜井幸子さんの表情がすごく好き。
野島さんも、もしかしたら同じなのじゃないでしょうか。「でも、もしかしたら先生は…(助けてくれるんじゃないかって)」
「だから頑張って来たの…!」
「でも・・・いやだよね」そこで振り向いて繭を見つめる羽村先生は、
(そうじゃなく・・・!!)
と、ものすごい苦しそうな表情。。「さよなら」
ずーっと何があっても先生を追いかけてきた繭の恋は、繭のほうから終わりにしてしまった。
校門に向かう繭を、かすかに肩で息しながら実験室から見下ろす隆夫。
繭がいつものように振り向いてくれることを願ってるのか願ってないのか、体は拒否するけど心は愛してるという状態なのでしょうかね。でも、実験室で見つめ合う繭と羽村先生を見てたら、なんだか泣けてきたのでした。
この2人は前世でどんな因果があってこんな苦しい結びつきとなってしまったのだろう、って。
誰もが抱えるややこしい事態って前世からのカルマなのかしらと思ったら、いくらドラマとはいえこの壮絶な2人の関係に泣けてきてしまったのです。この9話は藤村先生が主役でもある回でした。
繭は相沢直子の家でビデオを見てるのだけど、(しかもちょっとHな)
そのラブシーンのあまりの濃厚さに、繭は直子がいない隙にほかのビデオに変えようとする。
そんでそのとき発見!!
テレビ台に置いてあった本が、なんと「愛の星うらない」
持ってる持ってます!結城モイラさんの。
やっぱあの頃持ってた人は多かったのかな。そんで繭が変えたビデオが、例の視聴覚室での直子と藤村先生の強烈なシーン。
ジュースを持ってきた直子はそのグラスを床に落とし、誰にも言わないで!と泣き叫ぶけど、
「赤ちゃん…」
とつぶやいた桜井さんの決意溢れたお顔はとっても美しかった。繭はなんとか視聴覚室に忍び込んで、藤村先生のロッカーを壊してテープを押収。
恐ろしかったのが、直子のほかにも同じ目に遭ってる生徒がいることをうかがわせるビデオテープ2本。その奪ったテープは新庄先生と羽村先生も目にすることになり、即、藤村先生のもとに向かう2人。
「野蛮な人だ…」
「野蛮なのはどっちや!」
「藤村先生の行為のほうが僕には野蛮に思えます」
「野蛮だなんて心外だな、美しく撮れてるのに」
と、3人で野蛮さのなすりつけあい。藤村先生は、
「これを公にしたら生徒の一生はどうなる?」
などとぬかすけれど、新庄先生も怒りながらやっぱどうしようもなくて。そんで剣道部顧問として部活に顔を出す新庄先生に、直子が「遅い!」と一喝。
「ごめん、ごめん!」
心は泣いてる赤井英和さんの精一杯の笑顔もまた泣ける!
相沢直子が実家でもあるスナックに帰宅したら、なんとカウンターから、のそっと藤村先生!!
あ~ホラー!!そんですぐさま直子に暴力をふるい続ける。
このシーンは本当に見ててつらいのだけど、藤村先生はさらに果物ナイフを素手で握りしめて、
「君を殴ったお詫びだよ」
と、握った手の中でナイフを滑らせる。
もうそれだけで勘弁…!なのに
「今度は僕たちの赤ちゃんの痛みを感じるよ」
と、自分の腕をぎりぎりと切りつける。
そして直子は失神して藤村先生の胸に倒れ込む。
「そうだ…それでいい…やればできるじゃないか!」映画並みのグロさです。
翌日は、通学途中に新庄先生は直子を見つけて声をかけるものの、元気のないその表情をよく見ると顔に大きなあざ。
もうここで新庄先生のスイッチが入りました。新庄先生は藤村先生を殴り、そして藤村先生も隙あらば逃げる。
いつもスマートな藤村先生と、よぼよぼで逃げる姿のギャップにぞっとします。
それは直子のいる教室へ、そして屋上へ。
新庄先生の怒りは噴き出す。「死んじゃいますよ!!」
羽村先生の叫びでようやく体を離した新庄先生。
血みどろの藤村先生は「おぅ…」と吐きそうな声をあげて唾を吐き…
本当にグロい回です。でもこの後の京本さんの長い独白がまた美しいとすら思ってしまった。
悩める人は言葉を吐いて感情を吐いて、吐いてこそ憑き物のような何かが落ちるっていうのはわかる気がする。
藤村先生は、この「前と後」では、きっと見える景色は違うのだろう。新庄先生は、
「俺も教師である前に1人の人間や」
「俺が助けてやらな、誰が助けてやんねんと思ってな」
と、まぶしいほどのまっすぐさで直子を救おうとしている。その言葉は羽村先生の胸に突き刺さり、帰りの電車でリフレイン。
そして常に大事に持ち歩いている繭からの「助けて」メッセージ!を、またじっと見てみたりして。そんで、部屋の中では電気もつけず、
椅子じゃなくって床に座り込んで、
壁に背中つけて人形のように
ぼーっとひたすら放心状態。
いいよ、いいよ。
そうなるでしょうよ、そりゃ…。けど、何かを決意したときの羽村先生はとにかく行動力あるのです。
二宮邸では繭にべったりな父・耕介。
そんな空気を邪魔するようにチャイムが鳴る!何かの気配を感じて玄関に駆け出す繭。
扉を開けると・・・
どしゃ降りの中迎えに来た羽村先生!
くぅーっ!!「荷物をまとめるんだ」
そんでまた誠実な羽村先生は、きちんと父親に繭を連れていく旨を伝えちゃう。
「一体君に何の権限があるんだっ!」「僕は彼女を…愛している」
耕介は隆夫を殴って、でも隆夫も耕介を振り切って突き飛ばす。
その姿に一瞬ひるむ繭だけど、
「その男はお前を愛してなんかいないぃぃ!」
と、不吉な叫び声をあげる耕介。あぁ・・・みんなおかしい。
みんなおかしい道を歩みだしてしまう。
いや、社会にとっちゃおかしいけど、愛にとっちゃぁただ一つの正解なのかもしれない。
正解だけど、すぐゲームオーバーを迎えてしまうような。でも行き止まりがあるとわかって勇敢に突き進むその姿は、カルマ解消条件クリアとカウントしてやってもいいでしょうよ…(え?)
家を飛び出してしばし見つめ合う隆夫と繭は、久々にとっても幸せそう。
だぶだぶのトレーナー着ておどける繭も、ベタ!なのだけど、こんなグロ&ホラーの回ならベタも大歓迎です。
誠実な羽村先生はビジネスホテルに泊まることに。
(嫌悪感からかもしれないけど)
繭はちょっと寂しそうだけど、隆夫ねこを隣に寝せたならそれだけで幸せそう。
(前話で耕介は隆夫ねこを屑籠に捨ててたけど、拾ったんだろうな…。)
生まれて初めて、愛しているという言葉を口にした。
あの時の僕は一方で君に、まだ拭いきれない嫌悪感を抱いていたやっぱりそうでしたか。
ドラマもあと10話と11話でおしまい。
この後はやっぱりまだまだホラーは続く。
純愛→ホラー→グロ→純愛→純愛→ホラー→グロ→純愛・・・確かこんな流れ。
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「高校教師」第8話~隠された絆~
第8話の始まりは、羽村先生と相沢直子とのさわやかな登校シーンからでした。
「先生の初デートっていつでしたか?」
との直子の質問から、
直子は自分の初デートのエピソードも語り出す。中2のときに、トイレ入りたくても先客が長くて、扉たたいて「うんこ〇〇ちゃうでしょ!」と叫んだという話で羽村先生を笑わせてたけど、正直「〇〇」のところが何度聞いても聞き取れません。
漏れちゃうでしょ…でもないような。
滑舌があまり良くない持田真樹ちゃんです。けど羽村先生に「体はもう大丈夫なの?」と聞かれた途端、「知ってるんだ…」と顔を曇らせる。
そういうとこの演技が、ぐっとくる持田真樹ちゃんです。繭と羽村先生は、第7話で人目はばからず抱き合って、言葉はないけど体でお互いの気持ちを確認してたようなエンディング。
学校でどうやって顔を合わせることになるんだっけな…と思ってたら、出た!
図書室での人形劇ショー!人がほとんどいない図書室ってのが奇跡に近いけど、繭自作の繭ねこと隆夫ねこが、これまでの2人のストーリーをなぞるようなショーを繰り広げてる!
そんで、ねこたちの動き一つ一つに、微笑んだり気まずそうに顔を曇らせたりする羽村先生。
本当に、純粋な男性です…。そんで繭ねこが隆夫ねこを突き飛ばして、チャンチャン♪で、顔を出した繭の久々の笑顔はとってもありがたいものに思えました。
桜井さんも、ドラマとはいえどんどん美しくなってってるような感じがします。
人形を見て感心する羽村先生に、
「お裁縫、得意なの」
と言いながらも指にたくさん貼ってある絆創膏!
こんなにベタにいじらしさアイテムとなってるとこを久々に見た。戻ってきたささやかな幸せシーンの一方で、愛憎入り乱れた展開もたくさん控えてます。
藤村先生にまた呼び出された直子は、おなかに耳を当てる藤村先生に
「おろしてきたんです」
と告白。
驚愕の表情でのけぞる藤村先生。
その反動の恐ろしさすら予感させます。そして家庭裁判所から出てくる赤井英和さんと息子のたかひろ君だけど、どうやら親権は母親という決定が出された模様。
この男の子には本当に泣かされます。
一度タクシーに乗ったのに、タクシーから飛び降りる感動シーン。
足を引きずって、悲しむお父さんのもとまでなんとか歩いていって、お母さんから今もらった弁当を
「食べや」と差し出して、「はよ行け!」と怒鳴る赤井さん。
ちらり映った元妻の派手さと赤井さんがどうにも結びつかなかった…。そしてこの8話では、若林志穂さんが準主役的です。
教育実習生として授業をする志穂さんは、ほっぺたにえくぼ浮かべて、その姿はなかなか可愛らしい。
一応担当教師として見学する羽村先生だけど、ちょいちょい繭を見つめる姿もまた微笑ましいです。
けど、授業が終わってから繭を呼びつける志穂さん。
ほっぺたえくぼが、よからぬ企みを含んだように見えました。えくぼといえば、なんたって真田さんですよ。
真田さんのえくぼはいつだって優しい。
たかひろ君がいなくなってしまい、がっくりきてる新庄先生は、なんかぱーっと明るくなるような歌を歌ってくれと羽村先生に無茶ぶりする。
明るい歌…。
そうゆうのすっごい苦手そうな羽村先生だけど、きゅっと何か決心したようなときに出るえくぼは、もうたまりません!
そんでチョイスが「渚のハイカラ人魚」!!!
ずっきんどっきん!のダサさ!!
1話でイラついてた羽村隆夫のダサさですが、ここまでくるともう「愛」すら芽生えてきます。さて志穂さんですが、繭を呼び出して喫茶店で何やら牽制してます。
羽村先生の魅力、わたし知ってるのよ風に、「少し幼稚性を残してるところが魅力…」とか。
無言電話のあの日、彼の部屋にいたのよ、とか。
面倒そうな顔の繭も、無言電話はあなたでしょと指摘されて顔色が変わって、そこですかさず攻撃に出る志穂さん。ってか田辺里佳!
「あなたは彼に何をしてあげられた?」
「何をしてあげられるの?」
いや、あんただって何したのよと、繭の代わりに応戦したくなる。「あげる、あたしいらないから。」
少し手をつけたプリンにチラリ目をやって、席を立つ繭。
里佳にとって、その屈辱ったらありません。そんで羽村邸の前で待ち伏せする里佳!
繭だったら濡れねずみでもやっぱりいじらしさが漂ってましたが、志穂さんだとやっぱ怖い!
そんでまた家にあげるなよ!隆夫!家にあげちゃったならばもう調子に乗っちゃって、
「何か作りますから!」
とノリノリな里佳は、遠慮する羽村先生に
「他人行儀なこと言わないで下さいよ!…あ…まだ他人でしたね…未遂で終わりましたから…。」
卑猥通り越して、もう下品。
えくぼすらヤラシい。
隆夫の全く好まない女性決定です。そんで「助けて」カードは繭からだったことが、ついに羽村先生にバレる!
屋上で少し話す2人だけど、繭はなんだかんだ里佳からの攻撃が胸に刺さっていたようで、たまらず先生に苦しさを打ち明ける。
「あたしは何をしたらいいの?」
「あたしは先生になんにもしてあげられない…。」
繭の切実な訴えはとても美しい。「何も望んでないよ。俺はただ…」
「そんなのいや!」
文字にするとただのノロけっぽいですが、映像の中の2人は真剣そのものです。「君のほうこそ一体何を助けてもらいたいんだ!」
お互い、相手を想いすぎて、「何をしてあげられる?」ってことにこんなに胸を痛めてる。
さぁそして、志穂さんこと里佳はやっぱりただじゃ引き下がりません。
羽村先生と授業の後片付けをするにも、どこかぎこちない里佳。
「昨日は悪かったね…」と羽村先生が言うと、
「別に気にしてませんから」と強がるものの
「本当はちょっと傷つきました…」と翻す。
またちょっと動揺する羽村先生の隙をつくがごとく、
「そのおわびに夕飯ごちそうしてください!」
下唇を噛んで爽やかに前歯を見せる里佳。
「え・・・?」
こういう引いたときの羽村先生は結構率直です。
それを素早く感じ取った里佳。
「う・そ」・・・・・
えくぼが苦しいなぁ。志穂さんは、エネルギーがありあまってるのでしょうか。
まだ気の済まない目が貪欲な輝きを放ってます。
期末テストの試験監督。
繭を見る目は女子大生の無邪気さゼロ!
そんで、繭をカンニング疑惑に陥れます。
「ずるはいけないなぁ。」
繭の片手を上に引っ張る里佳。
今まで何でも手に入れてきた女の獲得欲が満たされないと、こういう負のエネルギーに変わってしまうのでしょうか。
(何でも手に入れてきた…とか、私の勝手解釈)相沢直子が実家であるバーに戻ると、お母さんから
「2階に先生いらしてるわよ」とのこと。
藤村先生…ホラー!!流れてくる客のカラオケの「どんなときも。」に乗じて直子を押し倒し、「なぜだー!」と絶叫する藤村先生。
「なぜ僕の子どもを殺した…」
直子の首を絞めにかかって、殺害事件寸前です。
息が絶えそうになった直子の顔に落ちてきた藤村先生の涙。
生まれてくる子からなら、無条件に愛を受け取れると思っていたのに。
やっぱりテーマは無償の愛?相手を愛しているという気持ちに変わりはなくても、それが強いとどうしても歪みが出てきてしまう。
でも、歪んでしまうような愛、それは結局、自己愛なのかな。ある日の放課後の羽村先生。
カバン内には繭ねこがまだ入ってる!
結構な大きさなのに…。
そんで指にはめてみて、ふと気づくとやけどの痕までフェルトで貼られてる。
隆夫の脳裏を駆け巡るのは、そこにくちづけた鎌倉の想い出。
ガラス戸に繭ねこを映し出してみれば、
「あたしが全部守ってあげるよ!」
「守ってあげる!」
そう叫んだ繭との出会い。
純愛なんて年齢でもない男の想いすら、美しく描く野島さん。
見方を変えればどうにでもしらけられるかもしれないけど、茶化す隙なんてどこにもなかった。そしてまた志穂!ってか里佳!
自分たち教育実習生のお別れ会に参加を促しに来た!
繭のカンニングつるし上げに、何の罪悪感もなさそうなのが恐ろしい。
してやったりなのでしょうか。
そんで、繭への想いを感じてる里佳はそんなことにめげずに
「よく理解できないから惹かれ合っただけでしょ?」みたいに決めつけようとしたり。
つくづく差し出がましい人です。「そんな議論は何の意味もない。」
そう言い放った真田さんの目は、またもや狂人のようでした。
「僕たちはもっと、おかしいくらいに単純なんだ。」
「そばにいないと、寂しい。」
そう言って机の上の繭ねこを見やる羽村先生は、もう何らかの覚悟が決まったかのようです。
そんな隆夫にもう望みはないと、初めて思い通りにならなかった(たぶん)志穂さんこと田辺里佳の恋の終わりでした。羽村先生は、とある覚悟の勢いのままにどこかへ向かう。
「僕はもっと早く、はっきりした意思表示をするべきだったんだ」
「僕もまた、素直に態度で示せないジレンマがあった」
「社会的なモラルも、何年かしたら
きっと笑い話になっているに違いないのだから」そしてまさかの二宮邸訪問です。
「こんな格好で失礼しますね」
裸にバスローブ羽織っただけの峰岸徹さんの姿に、
「あれでしょ!?」と、
衝撃シーンの到来に胸も高鳴ります。
あ~羽村先生、こんな日に…。
まるで運命におびきよせられたかのよう。これ見よがしに、繭の大事にしてた隆夫ねこと大仏キーホルダーを大仰に屑籠に捨てる耕介。
耕介が案内してくれる二宮邸の一つ一つもまたホラーです。
「娘はたぶんあそこにいるでしょう。」
一応ノックはするものの、部屋に入る羽村隆夫。
でもやっぱり、どんなに想いが募ってたって、これはやっぱり行き過ぎた行為のようにも思えるのです。
でもそれを、「ただ会いたい」という純粋な気持ちに基づいたものだと確信してる隆夫は、社会とか普通とか常識とか、それすら純粋に勝ることはないと、扉を開けてしまったのですね。点々と落ちてる衣類。
耕介のシャツ、耕介のズボン、繭のセーラー服にシュミーズにパンティーに…。裸でベッドにうつぶせになってる女性は、どう見ても桜井幸子さんではないというあの不自然なシーン。
でもそれすら「高校教師」の見どころの一つと思えます。
だから不自然な体勢でうろたえる桜井さん。
父親とのいろんなこと、羽村先生に知られてしまったこと、それを目だけで表現するのはさぞかし難しかっただろうと思えます。衝撃のあまりカバンを落として、部屋に入る前に愛おしそうにカバンから出した繭ねこも落ちて、後ずさりした隆夫が繭ねこを踏むシーンの残酷さ。
それにゾクゾクしてる自分…。最後は羽村先生が震えながら涙ぐむシーンで終わるけど、やっぱり真田さんの演技は胸を打ちます。
私は最後のこの表情の場面をすっかり忘れていた。
10代とか20代で見てたあの頃は、
「どうする?繭!」と、そっちに感情移入してた。
でも、今なら羽村先生に感情が入ってしまう。
いろんなこと、本当にいろんなこと乗り越える覚悟をしたのに。
今なら君を受け止めてあげられる。
そういう気持ちを、今なら伝えられるよ。
仮プロポーズぐらいの決意だったのに。
全部、泡となってしまった。
それらすべてが、真田さんの目から溢れてました。そういえばタイトルは
「隠された絆」だった。「絆」という言葉が、重い。
こんなに重く感じられるとは。「僕の入る余地などない絆…」
そのショックは、それでもどうにか「余地」を見つけようと、このあとさらにもがく羽村先生の新たな扉が開かれることになってしまう。
敵は「社会」でも「モラル」でもなかった。
「禁断の愛」
その残酷さ。展開も結末も知っているのに、いつでもゾクゾクさせられるのは、
「じゃあどうしたら純愛は勝つのかな」
そんな答えが見つかりようがないからなのかもしれません。
8話のエンディング曲。
弦楽器の音色が、慟哭にも聞こえるのです。
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「高校教師」第7話~狂った果実~
第7話の「狂った果実」がまたすごい!
ここから、ぐっと異常性が増してディープになってます。「別れのバレンタイン」で教師生命危うくなった羽村先生が、
「もう2人で会うのはやめにしよう」
と繭に切り出してから、
「あの時から君は、もう笑わなくなったね…」
と羽村先生が独白するとおり、この回では繭の羽村先生への無邪気な笑顔はない。そして、すっかり忘れていたのだけど相沢直子の妊娠!
そして若林志穂さんの誘惑に、
広田玲央名さんこと亜弓のリストカット…。相沢直子役の持田真樹ちゃんが半分主役の回でもあります。
体育の授業で、棒高跳びの直前に倒れてしまうシーンはすごい印象的でよく覚えているのだけど、しかも本当に貧血みたいな青い唇で。
それが妊娠だったとは、こんな大事な記憶が抜けてました。このドラマって、持田真樹ちゃんの演技もいろんな評判を呼んだと思うのですが、もうあれで完成されてるのだ!と強く思いました。
涙の演技がすごく切ない。
小柄で幼さとコミカルさが漂うのに、笑顔の抜けた表情にすごく色気が漂うのですね。
それを堪能できました。そして赤井英和さんも、演技どうなんだろ…って最初のほうこそ思ってましたが、いやいや、あの決して大きくない目からいろんな感情がこぼれ落ちてるじゃないですか!
相沢直子を意識するときの顔は、初恋の相手を見る男子学生みたいな幼さが感じられます。
ムキになったり、包容力のある優しさ漂わせたり。そんで藤村先生も相沢直子への想いが歪んでいるとはいえ、彼女のことを語るときの顔が美しい!
この異常性がね…
ゾッとするのに惹きつけられるっていう。若林志穂さんは6話から教育実習生として登場しましたが、渡辺典子さんといい、これまた男の色気と才能と快楽が好物みたいな役にぴったりなキャスティングするんだから…。
かなりディープな7話だけど、でもやっぱちょいちょいツッコミどころはあります。
「今日おヒマですか?せっかくの土曜日だし…」
なんて、なれなれしく土曜日の夜に羽村先生を誘い出す時の若林志穂さんの100%のはにかみは、それでもギラッギラしたものを隠せてない下心がまるみえで。けど、ブルーのライトが妖しいバーに2人でいるし!
羽村先生・・・(めっ)!
流されやすいな~・・・「こういう店、よく来るの?」
羽村先生も思わず聞いちゃうような、ああいう店のチョイスとか、ホントに女子大生?
あのライターの火の差し出し方とかも、絶対水商売のバイトもしてるでしょってなヤラしさです。
でも、あのころ世間はバブルだったのかな。
女子大生のああいう計算高そうなエロさは、あの頃は不思議じゃなかったのかしら…。「慰めて、あげましょうか…?」
こんなストレートで恥ずかしい誘惑に、まんまとクラッとする羽村先生…
そんで部屋に上げちゃう羽村先生(怒)
ディープに吸い付いて、そんで一度離れた志穂を抱き寄せる羽村先生(悲)チャリーン!
と、繭とペアで持ってる大仏キーホルダーが床に落ちる音で我に返って、急に体を離す羽村先生!
純粋かよ~
そんで無言電話がかかってくるのだけど、相手は繭と羽村先生は確信してる。
無言の繭を突き放すようなことを言う羽村先生だけど、それは精一杯の自制心。
けど、ここで志穂だよ。グラスを落としちゃう
→「あ、ごめんなさい・・・」
→受話器の向こうの繭にも聞こえる
→(誰かと一緒なんだ…)→電話を切る
→軽く天を仰ぐ羽村先生…。やな女だな!っんとに!
桜井幸子さんの包容力の演技は、羽村先生をからかう場面でちょいちょい見られるのですが、今回見せた包容力シーンは広田さんとの女同士の場面でとっても温かくて大人っぽくて、ふんわりした色気が漂うものでした。
広田レオナさんは、桜井さんが回されそうに(!)なった時に助けてくれた女性。
その場所も亜弓(広田さん)の家で、回そうとしてたメンバーの一人も亜弓の彼氏。
包丁を彼氏の喉元つきつけて
「あんた、おうちに帰んな」
と繭に言うシーンは、すっごい素敵でした。亜弓はどうやらヘルス嬢らしく、でも月に1度だけたかりにくる彼氏のためにも働いて、上京した当時の純粋な2人に戻ることを夢見てる。
繭はそんな亜弓にシンパシーを覚えたのか、亜弓のおうちに遊びに行っちゃったりもするのだけど、それは可愛らしい妹分が姉を慕う姿というよりは、誕生日に彼氏を待つ亜弓の寂しさにそっと寄り添うお姉さんみたいな表情で。
なんにも言わずに亜弓の話にうなずき、ケーキを前に「ハッピーバースデー」を歌ってあげる。
涙ぐむ広田さん、なのだけどもこの2人が美しい!
どこか少女な広田さんと、相手を包み込むような桜井さんと。桜井さんの包容力は演技なのか、それとも桜井さんにもともと備わってる広さなのでしょうかね。
美しすぎる。亜弓は、翌朝にお風呂場でリストカットして死んでしまう。
なんと血風呂…!
ショッキングな映像だけど、広田さんの肢体が美しかったです。警察署で羽村先生と繭は対面。
その時の真田さんの目が、もう繭を抱きしめたい…!みたいな苦しさがあふれてるように見えたのは私だけでしょうか。
警察署から帰る繭は道端で吐いてしまって、ハンカチ差し出してくれた羽村先生にしがみついて「死にたくない!」と訴える。
そこでもうたまらず繭を胸の真ん中で抱きしめる羽村先生の表情は、狂人のようにも見えました。「先生、汚れちゃうよ…」
「いいんだ…いいんだ…!」何かが解放されてしまった。
常識の中じゃ育たないレベルの愛を、知ってしまったのかな…。「普通ってなんだ!普通って!」
奇しくも繭の父親役の峰岸徹さんが、初回のほうで羽村先生の言った「普通」というワードにスイッチ入って激高したときの台詞です。
繭を「普通」に育ててこなかった二宮耕介。
「普通のピュアな恋」をささやかに夢見るのに、すでに「普通」の少女ではない繭。ああ、羽村先生は二宮親子の渦にどんどん巻き込まれていくのだなぁ。
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「高校教師」5話~衝撃の一夜~
例えばそれがどう思われようと、例えばそれでどうなろうと、彼女を愛おしいと思う気持ちは変わらないだろう。 僕は彼女を愛していた…
5話の、まさに衝撃の一夜に 羽村隆夫が語った独白です。
はぁ・・・(うっとり)
「高校教師」の話を友人とするとき、繭の数々の名台詞を熱く真似してくれる人は多い。
その中で最も嬉しくなった台詞。だって時計ばっかり見てるんだもん!
しかも鼻声気味のとこまで真似してもらったなら尊敬の念すら湧きます。
持田真樹ちゃんの印象的なセリフといえば 「女の子は、ずっと真剣してるよ!」 ですかね!
ドラマをよく見てるといろんな伏線があったり、表情の機微とかちょっとした仕草とか、とにかく楽しめる。味わい尽くせます。
1話か2話で、羽村先生こと真田広之さんが職員室で赤井英和さんと会話するシーン。
真田さんがカーディガンをさらっと羽織ってボタンを閉めてるけど、1段ずれてる!
特にツッコミ・ボケなし。
確かに始業のチャイム鳴って慌しさはあるけどさぁ、あのまま授業行って、女子生徒から「クスクス…」みたいなその後の情景まで想像できるじゃないですか!
あれは真田さんのアドリブ? どんくさ…そしてこの5話。
前回、動物園デートの終わりに繭に涙を見せてしまった羽村先生ですが、翌朝にはすっかり2人の距離は縮まって、この回ではもうその加速が止まりません。
それにしてもこのドラマは、夜にものすごくドロドロに思いが募って。
募って募って、朝にはぐっと距離が縮まるのです、しかも爽やかに。
恋をすると、こんなに朝の晴れ間が気持ちよく感じられるのですね…。
持田真樹ちゃんは、今回も藤村先生からの呼び出しに応じざるをえない状況となってますが、この回では今までになくアダルトな装いでした。
店が大人な雰囲気のとこだから、いい服着てくるように命じられたのでしょうか?ワインがこぼれて赤くにじんだテーブルクロス。
それを、じ…っと見つめる持田真樹ちゃん。
「こうせざるを得なかった…」 同じく赤いシミを見つめる藤村先生。
こんな描写、初めて気づきましたよ。
5話では羽村先生のお兄さんも出てきます。
新潟で長男として農家継いでるお兄さん。 羽村先生が結婚をやめたこととか、研究室に戻らないことを責めるとこから殴り合いの兄弟げんかに発展するあのシーンに、どんな意図があるのかが実はよくわかりません。結構暴れる大男たちですが、最後は羽村先生が全身でブチ切れて、お兄さんがふっとばされて頭打ったところでけんかは終わる、そのブチ切れ方が研究室で暴れたあれとまったく同じ。
私はそこに恐怖を感じてしまいました。
切れると何するかわからない羽村先生、っていう伏線??
それとも、あんなに激しいけんかしても、すぐに仲直りして穏やかに相手を思いやれるのが血のつながりのよさ…みたいな??
自由には生きられない農家の長男VS都会に出て夢を叶える自由のある次男、それぞれのそれなりの苦悩?まぁ、正解はないのでしょうが、私としてはとにかくテーブル上の食べ物やコーヒーもふっとぶほどのけんかシーンというのは、恐怖なのです。
羽村先生の性質の伏線…と捉えてみようかな。
それにしても羽村先生って本当にわかりやすいです。
涙を見せてぐっと距離が縮まった繭を、今度はできるだけ視界にとらえたくなってる。
繭も、もうわかってる。羽村先生の気持ちがこちらに傾きつつあることを知ってからの繭は、もう強気で大胆です。
赤名リカも及ばないのじゃないでしょうか。吉祥寺で映画見たあとは、いきなり 「海、見たい」 と強気に提案し、 そんでいきなり北鎌倉駅。由比ヶ浜。
「先生のふるさとに海はある?」
からの、(海あるよ、日本海)
「そっちの海とこっちの海どっちが好き?」
と他愛なさそうに、
(そりゃ新潟さ)
「あたしも見に連れてって!」 ときて、
(…えっ?)
「連れてけ!」 と海に先生を突き飛ばす繭。
(わかったよ、わかったよ)…こうなってくると、羽村先生がどんだけ繭手法にひっかかりやすいんだと、やっぱりどんくせーなぁと思ってしまいます。
砂に猫の絵を描く繭を見つめる羽村先生。
そして自分も裸足になって一生懸命下手な猫を描く羽村先生。
そのまま明るいうちに帰って翌朝平和に学校に行っていたら、今度は何の映画見よっかって、またちょっとずつ穏やかに距離が縮まって…。羽村先生の脳裏をかすめたであろう繭という生徒との淡い吹き出しみたいなものを、マジックで黒く塗りつぶしたいようないじわるな気持ちになりました。
そうはいかないんですわ、と。そしてまた繭手法で、羽村先生が気にしてばかりいる腕時計を巧みに外させ岩場に投げて、どしゃ降りの中。
「帰りたくない!ずっと一緒にいたいの!」 と、ごねる。
「勝手にしろ」 と駅に向かう羽村先生だけど、終電行った後の駅には、また濡れ鼠の繭がしゃがんでる!
見方を変えればホラーですが、でも私はどしゃ降りのシーンからずっと涙をにじませてました。「(時計)壊れちゃったみたい…」 羽村先生がたまらずに自分のダッフルコートを繭に着せるその仕草は、教師として出せる「男」ぎりぎりで、胸が熱くなる。
宿でそれぞれ布団に入ってからの羽村先生はもう「男」で、あとはそれが出てしまわないような必死さがずっと漂う。
繭手法は布団に入ったこんなところでも大胆に繰り出されます。
「さっきの、約束だよ」
と、先生の故郷の海&実家に行くことを挙げて、
「ああ、わかった」
これだけでも、羽村先生って誠実だなぁ…と感心してしまうのですが、繭はさらに、 「約束だよ」 と、小指を差し出す。
小指をつないだ羽村先生には嘘はないことはわかる。
羽村先生が、一生懸命「男」を盛り上げないように眠ろうとしたり平静さ装う表情が気になって仕方ありません。
ってか、真田さんがうますぎる!
真田さんは、いつから「男」が出ちゃわないように意識した演技されてたのだろう…。
宿に入ってからかな、とも思うのだけど、やっぱり北鎌倉駅で即刻腕時計見たあのときからだったかもしれないとも思える。この頃までは無邪気だった繭だけど、何か意を決したように自分の置かれてる状況とか苦しさ、お父さんのこととかを、「よく見る夢の話」に包含させてぽつぽつと語る。
この時の繭だけは「手法」なんかではなかった、と思いたい。
だって、羽村先生が「はっ」として繭を見つめたとき、繭もまた我に返ったように「はっ」として先生に背を向けたから。手をひっこめようとしたその繭の手首をつかむ羽村先生!
かつて隆夫が千秋の手首を引き寄せたあのシーンも、愛があふれたという合図・その伏線だったのかなぁ。 エロティック!本当のあたしを知っても、嫌いにならないでね…
そのあとの情景が切ないです。
やけどの痕に口づける。つながれた手と、こんな情景だけで、十分じんわりと重みのある甘さを感じられます。そんで、これまた初めて気づいたのが、2人が重なったであろう瞬間に下に落ちたコート。
これは、単に「落ちてしまった」ということの象徴だと思ってたけど、それだけじゃない!
ハンガーに吊るしてあった羽村先生のダッフルコートが、繭のコートの「上」に、ドサッと落ちていた!がばっと。
繭のコートについてるファーが、繭の髪の毛にすら見えて。
(白色のファーだけども)
コートで重なりを表現するとは…。2人のキスシーン、見たいけどさ。
でも思えば真田さんのキスシーンなんて濃厚そうで。
しかもドラマとはいえ生徒役に。
こんなメルヘン調で、ちょうどいい。
また、どんなに怪しげなお父さんに育てられ生活を共にしていても、「性」に大きな苦悩と問題を抱えていそうでも、桜井幸子さんが演じれば「性」のにおいが純白さで緩和され、それもちょうどいい。
後に上戸彩さんも演じられてましたが、「性」のあたりが中和されてなくて。
そのきわどさがいいのだという人もいるでしょうが、私はちょっとだめでした。
そしてまた翌朝、上り電車を待つ2人が爽やか!
うっかり羽村先生は腕時計を見ちゃうんだけど、ずっと一緒にいたいという想いが遂げられた繭には、もうそんな仕草はチクリともしません。
「ほら、見たいだけ見ろよー」 と言わんばかりに羽村先生の腕つかんで、時計を先生の顔にぐーっと押しつけます。
そんで2人で大きなあくび!ベタ!
でも、ばかにしたくなるほどのベタは、いざ目の前で繰り広げられると全面降伏したくなります。
このドラマは、当時見てた時も服装とかに一歩遅れた時代感を感じてた。
今見ると、おしゃれなのは峰岸徹さんくらい。
藤村先生も、キマッてるかな。
異常性がある人をファッション性で緩和するってのはいいですね。
本当に輝いてる人は、その笑顔とか表情で光を放つし、主役たちもおしゃれなんかより、 もっと大切な何かを磨いたり見つけたりすることに必死。そういえば、好きなドラマの主役たちは、みんなどんくさくて服装おかまいなしだったかもな。 (純しかり蛍しかり、満島ひかりさん演じるいつかちゃんやヨーコしかり…)
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「高校教師」4話まで
高校教師4話です
冒頭から事件発生!
出てくる人たちの気持ちのアップダウンの激しさとせつなさ。とりわけ羽村先生の一言です。
「我慢…か」
親からすれば自慢の子どもで、我慢すればきっといいことある、そう信じて一生懸命頑張ってきたけどレールからはみ出せない人間になっていた…。
羽村先生は、繭に好意を抱いてる女キャプテンから「羽村に襲われた!」というシチュエーションに陥れられて、そのあと授業にやってきた生徒にも、それを知った先生方にも、そんな疑いの目で見られ。
赤井英和さん演じる新庄先生に飲みに誘われて行った居酒屋で漏らした一言だったのでした。そのあとの新庄先生の
「優しいんや…」
にも、ぐっときました。我慢か、優しさか。
日本人って、そんな人が本当に多いですね…。
いろんなことグッと飲み込んで我慢・調和を選んでも、時々なんの仕打ちかと思うような出来事で心折れたり、なんにも報われないじゃないかと思えるような厳しさを感じたり。けど、我慢はすればするほど噴き出すものは激しくなるし、人にも我慢を強いたりする。
このドラマや羽村隆夫に思いを寄せる人の多くは、そんな羽村先生の耐える姿にシンパシーを抱き、我慢が爆発して、異常性発するような行動にすら輝きを感じるからじゃないのかな。この女キャプテンへの繭の仕返し、これまたグッときました。
何度見ても、顔に吐きかけた唾の角度に惚れ惚れします。けど、そのあとまた復讐で塩酸かけられちゃう。
かけられそうになった羽村先生を、繭が守ったのだけど…。持田真樹ちゃん演じる直子と藤村先生との関係は、仕掛けてあった2人の行為ビデオを盾に、「僕が呼んだらいつでも来るんだ」と、危険な状況になってます。
2話で持田真樹ちゃんはそのことに絶望して、そして新庄先生の「ラーメン食うか?」というあのハートフルなシーンから2人のふれあいは始まるのだけど、ラーメン手にした持田真樹ちゃんがポロポロ流すあの涙は、何回見てもうなってしまいます。
たとえ目薬だとしてもいい。
持田真樹ちゃんがたまに見せる奇跡のような表情も、楽しみの一つなのですよ。あと、新庄先生の息子役の男の子も演技が上手!
個人的には、新庄先生のとこにかかってきた元妻、たかひろくんのお母さんからの電話を、新庄先生が勢いよく受話器を置いた時のたかひろくんの顔。
電話の、チン!の音と同時に、ラーメン食べながらびくーん!となるたかひろくんのシーンは、何年越しに見ても胸打たれる箇所です。
あと、持田真樹ちゃんのギャグにけたけた笑うとことか、なごむ…。そういえば、2話・3話でも相当ショッキングなことがたくさんあったんですよね。
・藤村先生に襲われて強姦シーンを撮影される直子
・繭VS千秋こと渡辺典子さん → そんで繭が千秋をエスカレーターから突き落とす
・入院した千秋を見舞った羽村隆夫が目撃した、千秋と同僚(黒田アーサーさん)とのキスシーン
・バスケ部女キャプテンからの陰湿なしごき&部室閉じ込め
・父親役の峰岸徹さんからの陰湿なマーク
・羽村先生と繭との2ショット写真を燃やしてしまった父
・それに激昂して父親を突き飛ばす繭
・そんな繭のふくらはぎにすがりつく父
このときの峰岸さんの全身のよがり具合にぞわぞわが止まりませんでした。
でもその演技に感動して震えたとも言える…。そのほか羽村先生と千秋とのラブシーンがありますが、あのシーンも何年も忘れられないシーンの一つです。
千秋は繭に「隆夫さんのSEXは幼稚なの」と言ったり、羽村先生にも「SEXは子作りのときだけにしてほしいの」「愛なんて信じてないの」なんて言ったり、保母さんらしからぬ自分勝手さを方々で振りまく。
でも、暗い部屋で水槽が青く光る隆夫さんの部屋での2人の抱擁は、それなりに隆夫さんもリードしててとてもロマンティックに見えるのです!下着姿になった千秋を引き寄せる羽村先生は、その手しか画面には映ってないのに、待ちきれない熱さがあふれてて何か泣けてくるほどでした。
そのあと「始まりはどうであれ、僕は彼女を…(愛していた)」という4話のクライマックスシーンでも涙ながらに語っているように、そんな隆夫の溢れる想いと、そのあとに待っている悲しい出来事を知ってるからか、あぁこのとき確かに羽村先生は幸せだったのだという感慨まで、熱く抱いてしまう!なんて、感情移入しすぎかな。
またプチ萌えポイントを挙げるとすると、繭の羽村先生への母性あふれた上から目線。
3話では、羽村先生と一緒にハンバーガー食べてる繭が、すーっと立ち上がって背後から先生の口元のマヨネーズを拭き取ったり。
これは桜井さんのすっとした身のこなしももちろん褒めるべきとこですが、やっぱり真田さんの子どもみたいに「拭かれる」演技の絶妙さに感心しきりです。4話では羽村先生が、何度か繭に聞きかけたけど、ためらってなかなか聞けないことに、繭が「なんだったの?」と聞いた時、羽村先生は「僕の、どこがよかったのかなって…」と恥ずかしそうに言うのだけど、繭は「なんだ、そんなことか」と軽く扱う。
「そんなことって…!」
とムキになる先生。
そして、そんな先生を射止めちゃうぞ!的な繭からの「バーンッ!」
そんでそんで、羽村先生の
「うっ…」というどんくさい!けども結構うまい演技!
繭は、先生のそんなとこが大好きなんだなぁーと、なんかもう羨ましくなりました。その笑顔は羽村先生の気持ちを大きく揺らしたに違いなく、
「明日動物園行こうか」
なんて、夢のようなお誘い!
しかも反対側のホームの繭に向かって。
しかも電車が入線してきてかき消されて。「行く!!」
ほかの人の目など気にしない、ささやかな喜びを心から感じ尽くす2人の姿はすごく正直で純粋。
職員室であんなに毎度毎度、誰が見てるかわからないのだから!と言われてるのに、でも、常識の皮かぶったあの醜い世界のことなど忘れるほど、羽村先生は正直に心が求める「一歩」を踏み出してしまったんだなぁと、ささやかだけど確実に未来を変えたシーンだなと思えるのです。
それにしても職員室での会話はひどい。
ホテルに行った日をメモしてた手帳を見つけられてしまった生徒の退学がすぐ決定したり、とにかく保護者保護者と、羽村先生が本当に生徒を襲ったかどうかはどうでもいいんです!と言ってのけて、とにかく保護者の目が!と怒る教頭や、ほんとはどこまでやったの?とこっそり聞くゲスな主任。でも野島さんは、この世を俯瞰した時に見える社会はこんなだよと、そういう縮図を描いたんだろうな。
大人はみんな汚くて、でも大人になっても本当はみんな愛が欲しくて。
そんな気持ちを出さないように押し込めたなら純粋さは歪む一方で、もう誰もそんな弱さに「大丈夫だよ」なんて言ってくれない。じっと我慢してたっていろんな人に振り回され、優しさみたいな曖昧さですべてを受け入れようと努めてみても、そんな曖昧さは人をイラつかせるばかりでどんどん踏みにじられ、そして何にも残んなかった…。
4話の最後は、「高校教師」ナンバー1ともいえる、不忍池らしきとこで2人で泣くシーン。
その日の羽村隆夫の一日は、裏切られて侮辱されて暴れて、人生で一番絶望した日。
「すべて、失ってしまった」と嘆く羽村先生のこれからは、もっと怖くて悲しいことも待ち受けているけど、それを「転落」とは言いたくない。本当に欲しいものは、要領よく出る杭にならずスマートに生きたいと願ううちは、手に入らないのかもしれない…隆夫と繭の行き止まり感をいちいち自分に当てはめてしまう!
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あゝ真田さん
先ほどTVをつけたらNHKに真田広之さんが出てました。
それにしても本当に男前。
本当に色気ある。
横顔が素敵。
鼻のつけ根が素敵。
陰ある表情にずくーん…何が好きって、とても謙虚なところ。
でも自信がみなぎってるところ。
独り身の、漂う欠落感。
なんていうのだろう、既婚者独特の満たされた温かさに「素敵~」と思うことももちろんあるのだけど、独り身特有の色気というか、たとえパートナーがいたのだとしても、ファミリーを形成していない隙間感というか…。
「高校教師」からずっと、私は桜井幸子さん演じる二宮繭のような気持ちで日本で待ってる感じ。
「あたしが全部守ってあげるよ」
「守ってあげる!」
これを繭に言われた時の羽村隆夫先生こと真田さんの、少し寄り目になって戸惑った表情は、いつでも瞬時に思い出せます。私は葉月里緒奈さんと生年月日が非常に近く、
だから惹かれるのでしょうか…?ものすごく気になってホロスコープチェック!
真田広之さん
太陽:天秤座、月:蟹座
水星:蠍座、金星:蠍座、火星:蟹座
木星:射手座、リリス:蟹座蟹座にこんなに星があって、しかもリリスが私の太陽星座とぴったり重なってました。
これなのだな…と。
葉月さんもこれなのだなと。
かぁ~っ…!真田さんは映画「ウルヴァリン」が公開されるということで、近頃TVでインタビューを受けてる様子を目にすることが多いのですが、蟹座にある真田さんの火星が、いま蟹座を運行中の木星ビームによって、その男っぷり・生き様とあいまって華やかに照らし出されてるのだなと思いました。
あと、真田さんの蟹座:月・火星・リリスは、もうそれだけでも優しげで母性みたいな懐の深さを漂わせてるのに、蠍座にある金星・水星・海王星と120度という吉角。
本当に女性的な感性溢れた優しぃ~方なのでしょう。しかもこの金星・水星・海王星とのアスペクトがまた、芸能界での大きな成功のゆえんを目の当たりにした気がして、もう拝みたいくらいです。
しかも、今は運行中の海王星が魚座にいるので、この蟹・蠍ほしぼしと三角形の大吉角・グランドトラインというものが、ゆるやかではあるけども今まさに形成されています。海王星というのはその人のアーティスト性をあふれさせるような星。
感性・芸術性があふれ出ていると感じる方のホロスコープには、かなりの率で海王星に関するアスペクトが発見されます。こうして見ると、真田さんは女性星座のとても多い方。
男性星座は太陽と木星と天王星のみ。
だけど感動したのが、自分が積極的に打ち出していくと繁栄とか幸運がもたらされるような「木星」の在してる場所が、なんと海外を表す射手座!
っか~っ!これまた木星と吉角をとっている天王星は、芸能界においての大変革というかブレイクっぽくも見えるし。
唯一の風星座である天秤座の太陽は、まさに真田さんそのものともいえるようなスマートでエレガントな男前そよ風が漂ってくるようで。しかもこの配置は、
「高校教師」の羽村隆夫先生そのものにも思えてくるのです。スマートで波風立たせたくないさらっとしたヤサ男先生の本質は(天秤太陽)、強烈に母性を求める繊細な高校教師(蟹座群)
平凡さと秘めた幼稚さにどこかコンプレックスを抱えがちな(蟹座群)高校教師が陥ってしまったのは、
ちょっとやそっとじゃ抜け出せない深い深い秘めた恋愛(蠍座群)
そして命をかけるほどの究極の純愛(乙女座冥王星)
けど、高校教師という「顔」が、そんな深い情動にいつでもブレーキをかける…(山羊座土星)こうなると木星の射手座は、太陽星座射手座の桜井幸子さんに思えてきます。
ドラマの中では確か「二宮繭、蟹座O型!」って自己紹介してた気がするけど。
このときも「自分と同じだ!」と、妙な運命を感じたのでした。そういえばその昔、手塚理美さんの出産時に立ち会われてたのを記憶してるのですが、ビデオカメラ持って出産シーンを撮ったのは、真田さんが「はしり」だったのじゃないかと思うのです。
そして涙ぐまれてたような記憶も…。思春期まっさかりの私には衝撃的なニュースでしたが、私がTVなどでこれまで目にしてきた、学校や塾などでこれまで関わってきた、家庭内や親戚内にいるどんな男性とも違うものを、真田さんに「見いだしてしまった」感覚が、潜在意識に深く浸透してしまったような…。
TVというちょうどいい距離から、
これからも繭スピリットで見守らせていただきます。 -
「高校教師」まず1話
ついに買ってしまった。「高校教師」DVD。
やっぱ私の中のナンバー1ドラマと、その思いは年々強くなる。
真田広之さんがTVに出るたびに胸を熱くするのはもちろんで、でも引退された桜井幸子さんがもうドラマに出ることはないという現実が、取り戻せない青春みたいに遠い懐かしい感じがするからかな。
もうこの2ショットと真田さんの横顔だけで手に入れた価値があるというもんです。
しかも最終回で繭が羽村先生宛てに書いた手紙。
「先生、私は今急いでこの手紙を書いています」
から始まるあの手紙まで付いてる!14の時、そう14の時
私のお父さんは、
お父さんじゃなくなったなんてショッキングな手紙なのでしょう…
そして1話を今やっと見終えたのですが、1話ってものすごい濃かったのだなと、わくわくし通しでした。
みんなヘン。全員。
ヘンというか…みんな悲しすぎます。そしてあの女子高。
羽村先生みたいな男盛りの独身男性が赴任してくること自体がドラマチックですが、京本政樹さん演じる藤村先生に、赤井英和さん演じる新庄先生。
こんな男前な独身男性が3人もいる女子高ってありうるのでしょうか。
いかにも何らかの問題を起こしそうです。
そして、並べれば絶対に男前No.1は真田さんのはずなのに、この3人の中で一番格好悪く描かれ、そしてまたうまい具合にどんくささの出ている羽村先生。私だって、1話じゃあ羽村先生を好きになったりしないな。
夜間パトロール中の私服のダサさとか!
そしてどこか自意識過剰気味。
「ぼかぁ高校生なんて興味はないよ」
なんてとぼけた目をしながら、「助けて」とだけ書かれた下駄箱の中のメモを、いつでもふと取り出して見つめてみたりする。
純粋さなのか、やっぱり自意識過剰なのか、幼稚なのか。でも、「誰かが僕に助けを求めている」
そのアンテナは間違ってなくって、純粋ゆえにいろんなもんをキャッチして抱えてしまう愚鈍さに、なんだかんだ惹かれてしまいます。
1話の重要場面を箇条書きにしてみると・・・
・「あたしが守ってあげる!」二宮繭のスピード告白
・藤村先生の異様なモテアピール
・フィアンセの父親である上司からの利用され感
・上級生にイビられ素足を踏んづけられた繭が逆上して刃傷沙汰
・バスケ部の上級生が繭を見初めた瞬間
・羽村先生へのプチストーカー&家に上がり込む繭
・そこで羽村先生のフィアンセと繭の対面
・フィアンセが別の男とどこかへ向かう車を、繭と持田真樹でタクシーチェイス!
・そんでラブホテル張り込み
・繭の父親は峰岸徹
・モデルが思いきりヌード
・彫刻家の父親の異常性クローズアップ
・新庄先生の異様な暴力行為
・片足不随の新庄先生の息子
(杖でふすま開け閉めする器用さが光ってました)
・どしゃ降りの中、羽村先生を待ち続ける繭
・「会いたかったの!」二宮繭のスピード真剣告白いや、ドロドロ盛りだくさんすぎます。
だけどうっとうしく感じないのは、要所要所で森田童子さんの「ぼくたちの失敗」が流れるからかもしれません。
どんなドロドロも、一瞬で純白にしてくれます。ドラマチックな展開だけでも上記のようにたくさんあるのですが、そうじゃないささやかなものにも
いちいち胸打たれるわけで。
例えば・・・羽村先生と一緒に食べられなかったお弁当を、野良犬に食べてもらう繭。
いや、野良犬と一緒に食べてたな。
「おいしい?」「わぅ…」
みたいな会話付きで!あと、コンビニの買い物すらどんくさすぎる羽村先生に一層想いを募らせた繭の、電柱の陰からの「バンッ!」
射止めちゃうぞってか?それにしても、男性の靴下をあんなに強引に脱がせて、しかも素足に猫の絵を描くなんてストーリー、どうしたら創造できるのでしょうか。
野島伸司さんの実体験?
あんなヘンなことなかなかありえない気がします。
でも、それが不思議と心をつかむ。
自分の素足にも猫を描いてみたならば、先生とどこかつながってると信じられる。
か〜っ!素敵かっっ。あと、相沢直子こと持田真樹ちゃんの会話の脈絡のなさ!
「あの子が通った審査って、実はAVのオーディションだったんだって!あーなんかいいことないかなぁ!」演技の上手下手の関係なのかはよくわからないけど、あの突然感は、いかにも女子高生風です。
でも演技はどうであれ持田真樹ちゃんはすごく可愛い!そして物語後半にドロドロの極みを見せる峰岸徹さん。
当時ドラマを見てた時は「とにかく気持ち悪い」という印象しかなかったけど、今見るととても男前で色気がものすごく漂っていることが感じられます。
真田さんより京本さんより男前に思える!
あたりまえといえばあたりまえなのかもしれません。
そんな年齢になったのだなぁ。雨の中、ずぶぬれで先生を待つ繭の行為は、この1話で一番ヤバさがある。
純白のセーラー服だからこそ、濡れ鼠感が愛おしさを増幅させるものの。
純粋さと異常性って紙一重なのかな。羽村隆夫みたいな男がずぶぬれの繭をそのまま帰すわけはないから、また家に上げてきっと何か衣類を貸してしまうだろう展開。
繭はそこまで計算済みであるようにも思えてくる。
純粋…風の、したたか?本当に純粋なのは、
いつでも心揺り動かされる男性のほうなのかもしれない。このドラマは、少なくとも1話は、必ずしも女性が羽村隆夫に恋するようには作られてないように思える。
どっちかというと「ばかじゃねぇの!」みたいな、イライラした気持ちを駆り立てるというか。
でも、「そっち行っちゃだめ!」
みたいな母性本能が、もう2話・3話…と、むくむくしてくるのです。
そして、フィアンセが渡辺典子さんという妙なエロさと違和感にも、「あーあー」なんて冷ややかな目を、平和ボケした羽村隆夫に向けてしまう。
そのくせ、「おいでよ」なんて、繭っぽく上から目線の母性で言いたくなってしまうぞ!!そして、毎回必ず2、3は語られる羽村隆夫のポエム風独白。
運命はほんの小さな出会いで変わると、人はよく口にする。
平凡。それこそが僕の理想だ。
いやぁ、萌えすぎ・燃えすぎかもしれません。
でも繭を見てると、もっともっと人生にまっすぐ熱くなってみてもいいかもしれないと思えてくる。
でもこんなまっすぐさは怖いなとか、それでも、まっすぐさでもって伝えてみたいなとか。
羽村先生の優しさも。
いろんなものを受け入れすぎちゃうと、あなただめになるよ…って忠告したくなるけど、それでもきっと手を差し伸べてしまう羽村先生。
やっぱりこんな男性、第一印象は、どんくせーって思っちゃうんだろうな。
そのダメさと優しさにどんどん引き込まれていく物語なのです。
