舞台・映画・本等感想文
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め組の喧嘩inしたコメ
したまちコメディ映画祭というものが、毎年台東区で開かれていて。
今その時期です。これまであんまり縁がなかったんだけど、中村勘三郎さん主演「め組の喧嘩」が上映されると知ってチケット情報サイトへ!
見事当選~!!
上映直前に、はっぴ姿のいとうせいこうさんが現れただけでもう興奮しました。
「上映後には勘九郎丈と七之助丈のトークショーがありますんで」
って聞いてますます興奮!そして上演「め組の喧嘩」
勘三郎さん演じる辰五郎はめ組・つまり町火消しの鳶頭。武家お抱えの力士と火消しの若い衆が喧嘩に発展したのを、最初は止めた辰五郎。
けど、頭を下げたのをいいことに力士に鳶職を見下され、内心憤怒。
しまいには火消し衆×力士衆で命がけの喧嘩をするというお芝居。もうやはり勘三郎さんです。
会いたかった、勘三郎さん…。
躍動している、スクリーンの中で。平成中村座でのこの演目が、最後のお芝居だったそうです。
そういえばドキュメンタリーでもこのめ組の舞台裏やってた。
すごく楽しそうだったけど、体がとてもつらそうだったのはこのときだったかな、もう少し前だったかな。
勘三郎さんといえば「目」だと思うのです。
以前にも記事にしたことありました。
→「愛らしいお方。」目で「粋」を表現してくれる。
粋とかわかんなかった私でも、それがどういうものか瞬時に理解させてくれる。
粋だねぇ、いなせだねぇ~って言いたくなる不思議さ!
正直、歌舞伎のセリフというのは何を言ってるのかよくわかりません。
英語のリスニング試験受けてるような感じ。
なんとなくこういうこと?って雰囲気だけつかんで観てました。
でもそれもまた勘三郎さんの「きっっ」とした目で、今キモなのかなって感じられる。
よく見れば涙を浮かべているらしい。
兄貴がかけてくれた言葉は、大事な言葉だったらしい…。
それでも感動させてくるのですよ、勘三郎さんは!
あと勘三郎さんの奥さん役・中村扇雀さんのキップのよさと女らしさにもまた泣けました。
江戸風・気の強さがまぁかっこいいし色気だし。
私もああいう女房でありたい、なんて参考にしたくなるとこばかり。水を口に含んだあと、そっと手で口元をぬぐう仕草。
これは勘三郎さんもそうだったけど、江戸の人の仕草がいちいちカッコいいです。
勘三郎さんは実はスタイルがそんなに良い方ではない。
スタイルっていったらやっぱりご子息の勘九郎さんです。
まぁ男前で、前に出られた途端に舞台がパーっと華やかになる。ただそれでも、すらっとしてないからこその色気を知る。
とにかく手も足の動きも見事です。
「行くぞ!」
って号令かけるときの、あの手の動きはなんて言うのだろう。
超高速で梵字みたいのを描くような、日本流十字切るような。
こんな初心者にすら「すごい!」と感動させるわかりやすさがなんたってすごい。
それが勘三郎さんでした。
子役の子がまた胸を打ちます。
「一緒に連れてってくれなきゃ嫌だ!」
勘三郎さんも子役のお芝居に大仰に合わせて、子どもが全力出してるみたいに「おっとっと」って反り返る。
「ちゃん(父)をいじめちゃ、いやだいやだ!」
眉毛を上げ下げする勘三郎さん。
泣ける…。どこが本当の泣きどころだったかはわかんないんだけど、辰五郎が力士への仕返しに「実は乗り気だった」「時を待っていた」って明かすところからどんどん舞台の勢いが増してって、涙こらえるのに必死でした。
若い衆が軽やかに屋敷の屋根に登って、瓦を下に落として力士やっつける痛快さ。
こんな明るいシーンでついに落涙。
楽しすぎて涙が出るってあるのですね。
笑い涙じゃない、こんな痛快なお芝居を見せてくれてるということの献身さに泣いたのかな。
勘三郎さんがもういない、ということはもちろん切ないけども、演じる側もなんて楽しそうなんだろうということにも圧倒されて。命磨り減らしてでも見せる表現は、刺さるほどの強烈さをこちらにも残すのですね。
あの日リアルで観た平成中村座での勘三郎さんの色気は、まだ鼻腔に残ってると言える。
こんなにも”生きている”人が、あっという間にいなくなってしまったその喪失は、もうどうにかしても埋められない。
びっくりしました。
勘三郎さんを失ってますます私の中で大きくなる幻想だと思っていたものが、幻想でもなんでもなく、やっぱりあまりに大きく華やかで、お祭り好き・神輿好き:派手好きの浅草とぴったりマッチしていることが嬉しかったなぁ。トークショーでせいこうさんが「浅草からのプレゼントです」と言ったのは、なんと本物のお神輿が浅草公会堂の前にいま待機していると!
警察も申請不要とかって目をつぶってくれて?数メートルお神輿担ぐために町の衆が今100人ほど下で待ってますからと。
みんな仕事そっちのけで。「浅草の人、本当バカですね!」
勘九郎さんが言って大盛り上がり。
いや、本当そう思う。
年中祭りのことばっか考えてて、仕事してんだかよくわかんないセーターの親父が、祭りになるとむっちゃかっこいいはっぴふんどし姿で我が物顔。
そんでやっぱ主役は親父なんですよ。
スタイルのいい若者じゃなくって。
だからそういうところまで勘三郎さんは追求したのかな。
でっぷりお腹丸いような親父のかっこよさは、まさにそのとおりっていうあたりまで。このめ組の喧嘩最後で、実際に本物のお神輿登場してるのです。
中村屋の舞台奥ぶちぬいて、スカイツリーバックに派手な出現、なんてことが実現しちゃうとは。
そのすごい仕掛けのゆえんは、町内会長さんとか老舗扇屋さんのご主人のご尽力だそうです。
まだちっちゃい七緒八くんも勘三郎さんに抱かれて出てきて、スクリーンのこっち側でも大盛り上がり。中村屋っ!!
とかって、どんどん声かけちゃってくださいってせいこうさん言ってたけど、本当にかけた人いたかな。
いたっぽいな。浅草公会堂前の勘九郎さんと七之助さんは、さすが浅草のお練りもこなされているだけあって、笑顔とかシャッターチャンスのサービス精神旺盛でしたよ。
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「ティファニーで朝食を」
BSで「ティファニーで朝食を」が放送されてました。
オードリー・ヘプバーンの映画は、どれも1回くらいは見たことあるはずなのに、何年か経つとどんな映画だったか忘れちゃうものも結構多いです。
それにしてもこの映画でのオードリーの役柄は結構ぶっ飛んでて、Wikipedia情報だと、
「人生最大の派手派手しい役」
「実際の私は内気な性格なのです。このような外向的な女性を演じることはかつてない苦痛でした」と漏らしていたそうで。
いやぁそうだろうと思います。
だってこの映画、みんなパリピじゃん!!オードリー演じるホリーは、自室に金持ちとモデル並みの美しい女性ばかりを招待したパーティーを主催。
そうはいってもオードリー、これまでのいろんな役柄の傾向に漏れず「ウブ」なんでしょ?
と思いきや、上の階に新しく引っ越してきたポール(ジョージ・ペパード)と初めて顔を合わせたその日にポールの部屋に侵入。
裸で寝てたポールに「ベッドに入っていい?」と尋ね、吸い付くようにポールの腕の中に飛び込む!「私たちフレンドよね」「ああ、フレンドさ」
ってきっちり言質とって、安心してポールの胸で眠る。
…んだけどもすぐに悪夢にうなされて、ポールに「どうして泣いてるの?」って優しくされた途端
「友達として言っておくわ。干渉しないで!」
って吐き捨てて自分の部屋へ戻る…。パリピは闇を抱えてる人も多いようで、過去に触れられそうになると時にヒステリックにも。
ホリーはまともに生計を立てることなんて考えず、金持ちの男の周りをいつもうろちょろ。
夢は金持ちの男と結婚すること(オードリー→太陽牡牛座)。
そのためには友人の彼氏だろうが、モノにするのに手段を選ばない。小説では、もっと娼婦的な役柄だったようですね。
それをオードリー風に大幅に変えたとか。
愛されキャラぎりぎりなところに最初はハラハラしてましたが、でもやっぱりあの美貌とドジなところ、そして暗い過去に弟への愛。
パリピに暗い過去があるとわかったとたん、ワクワクしてくる自分がいます。そんなホリーにすぐ魅力感じるポールは売れない作家。
既婚のデザイナーっぽい夫人のヒモ。
ヒモということはもともと貧乏ということだろうけど、このポールの金銭感覚とか常識的な目線こそ、観客が安心して心寄せられるところでしょうね。完全にホリーに振り回されてるんだけど、それを楽しんでるからか振り回されてるサマもスマート。
(ジョージ・ペパード→太陽天秤座)
パリピ特有のヒステリーからくるホリーの侮辱的な発言には、もちろん冷たい視線を浴びせるポール。
だけどその放言は本心からじゃなくて、「どうかしてた…」って反省してることもよくわかってるポールは、翌朝ホリーの部屋を訪れて様子をうかがいに行く優しさ!このジョージ・ペパードという役者さんがまたすごく男前です。
若きブラッド・ピットに似てるような…。友達以上恋人未満最高潮のはざまにいる2人。
「互いに初体験を3つしましょ」と提案するホリー。
その1つが、ティファニーで買い物をすること。
ポールは、さっき売り上げた本の小切手は持ってるけど、手持ちは10ドルくらい。「10ドルくらいで買えるものありますか?」
店員に聞いちゃう2人。最初は怪訝な顔されるんだけど、「このおもちゃの指輪にイニシャルを彫ってもらえる?」というポールの提案に一瞬ドン引きっぽかった店員だけど紳士的な対応。きっとティファニーの常連客からはほとんど見出せない純粋なものを2人に感じたんだろうな…。
「明日出来上がります」と答えてたその店員は、ポール・マッカートニーに超似てました。ちなみにあと2つの初体験は、図書館に行くこと。
ポールの本にサインをして帰ってくるといういたずら付き。
もう1つが万引き!!
店内でも完全に怪しまれてる2人でしたが、お面盗んじゃったよ!しかしさすがハリウッド。
お面かぶってお店からアパートへ転がるように戻ってきて、息切らしながら2人でお面を取った瞬間の色気…。自由を求めるパリピ…いや、ホリーは、ポールと愛を交わしたなんと翌朝に、ブラジルの金持ちをゲットする計画に邁進し始める。
まずは図書館で南米の勉強。
ポールは、これまでホリーがどんな振る舞いをしてもスマートに見守ってたのに、一夜を共にしたら「そんなことはさせない。愛しているんだ。君は僕のものだ」とホリーの腕を掴む。「なんなの?束縛?」
パリピに吐き捨てられたら確かに激昂しそうな言葉です。
でもホリーのブラジル行きはどんどん本気度加速していって、実業家の妻になるために料理頑張ったり、生活質素にしてみたり。
明日いよいよブラジルに発つんだというときに、警察に踏み込まれて逮捕。
容疑は「麻薬犯との取り引き疑い」!結果は誤認逮捕なわけなんだけど、パリピのこんな騒動にはニューヨーカーですらも冷たい。
そしていくら誤認逮捕といっても、こんな容疑かけられる人はブラジルの実業家にとってはNGなわけで、お別れの手紙も届く。
それなのにブラジル行きの飛行機に乗ろうと空港へタクシー走らせるホリー。一度は諦めたホリーへの気持ちなんだけど、哀れすぎるホリーを受け止めてあげられるのは自分しかいないと、ここでまたポールが
「ブラジルに行かせない。君は俺のものだ。」
と束縛ワード!
ジョージ・ペパードは月が牡牛座なのです…。
けどもオードリーは太陽が牡牛座。
束縛、嫌いじゃないハズ…。いや、でも飼い猫に名前もつけないホリーは、
「私のことだって誰も飼いならすことなんでできない。私は鳥かごに入りたくない。あんたも自由にお行き」
と、相棒の猫ちゃんをどしゃ降りのニューヨークに放つのです。ポールは今度こそ見限ったような目で、
「君は鳥かごから自由になりたいんじゃなくて、自分の作った鳥かごに逃げ込んでるだけだ」
「そこから一歩踏み込まないと”真の愛”なんて得られない」
と言い放ち、ティファニーでイニシャル彫ってもらった指輪を投げ渡す。「今まで大事に持っていたけど…(もうその必要もなくなったようだ)」
そこでやっと覚醒したようなホリー。
いや、ホリーだけでなく、見てる私までグサッと来るような…。
Oh!ポール!このままだと大事な何もかもを失ってしまうと気づいたホリーはすぐタクシーを降りて、ポールを追っていく。
でも名無し猫ちゃんはどこに?このどしゃ降りのラストシーンは、今までの明るいムードからは考えられないような不穏な曲が流れていたのです。
ホリーの絶望・恐れ・叶えられなかったこと・叶えたいのはそんなんじゃないこと。
今まで目をそらしてたものすべてが噴き出してくるような。でも名無し猫ちゃんの「ギャーオ」という鳴き声、「見つかった!」という喜びとともに、曲調が「ムーンリバー」に転調するあの奇跡!


オードリーの指には指輪が!

ホリーは「使えない男たち」のことを何度もネズミ、ネズミって言い放ってた。
だけどラストシーンは自身が濡れねずみに…。
涙しました。。写真にしるしもつけたけど、名無し猫ちゃんがすばらしい演技でした。
オードリーにすばらしくなついてた。
オードリーの背中をぽぽっ…とたたいたり、最後の抱擁も愛おしそうだったのはもうお互いに。この方もこの映画には欠かせないキャラクターなのですね。

ミスター・ユニオシ。
日系人とか日本人という設定だそうです。
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港カヲル人間生活46周年コンサート
2月1日 国際フォーラムAホールに行ってきました。
「港カヲル人間生活46周年コンサート」
港カヲルとは、グループ魂のパフォーマー?の1人で、皆川猿時さんのこと。グループ魂は大人計画のメンバーが組んでるバンド。
私にとって大人計画とは、近いようでいて遠い存在。
宮藤さんや松尾さんのドラマは大体好きなんだけど、舞台には行ったことがない。
それに大人計画ファンってみんな無類のお芝居好きというような独特の雰囲気で、なんかちょっと気が引けちゃう。今回の港カヲルのコンサートに私が行くことになったのは本当に偶然のことでした。
チケット取ってた人が行けなくなった、その人の代わり。「前に皆川猿時好きって言ってたよね?」
そんなこと言ってたっけかなぁって思ったんだけど、2013年に皆川さんについて記事書いてたのでした。
(皆川さんと射手座)この記事の中では、皆川さんのこと気になるようになったきっかけが夢で見たからと書いていた。
じとっとした手で私の背中を押すって…。
なんか~この夢が「今」すごい意味を持ってるように思えてきた。
それくらい刺激的なライブだったのです!というわけで、忘れないうちにライブ備忘録。
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会場には開演15分前くらいに入りましたが、著名人の方々の「港さん(皆川さん)お誕生日おめでとうございます」というビデオメッセージがずっと流れてた。
2月1日は皆川さんのお誕生日。会場が暗くなったら、ゴスペラーズ+港カヲル登場。
今回発売されたソロアルバムで「ひとり」がカバーされてるのです。愛してるぅ~~(って)…
会場大揺れです。
「港カヲル」のつぶれた声の破壊力は凄まじかった。
ゴスペラーズの低音・高音のハーモニーがあれば、国際フォーラムAホールにふさわしい荘厳さを生み出すんですね。
贅沢なステージでした。2曲目はGLAYの「HOWEVER 」カバー(笑)
いちいち(笑)をつけたくなる愛らしいステージ。しょっぱなから。2曲歌ったところで、総合司会の谷原章介さんが登場です。
うたコンっぽい!「章ちゃん」「先輩」と呼び合う仲。
章ちゃんとファッションヘルスなんたらのくだりは本当かな?
章ちゃんごまかしてた?そしてラバーガールによる審査員紹介です。
右にはグループ魂、左には皆川さんのご両親(笑)ラバーガールは、飛永さんの安定感と「1UP」だけでも相当楽しめました。
ちょいちょい「夜のお悩み相談」コーナーとか、またビデオメッセージとかが入り。
今回、アルバムに楽曲提供したヒャダインのメッセージのあとに私立恵比寿中学の登場ですが、ここが長かった!ヒャダインのメッセージも相当長いし、だんだん会場が冷えてきた頃にエビ中柏木さんと綾小路翔さんが君の名は的にぶつかるコントの始まり始まり。
あそこ長かったなぁ~。
さんざん長かった上に皆川さんを待っていたのが、エビ中とコラボした曲の激しいパフォーマンス。
曲も長いし~。しかし、誰もが「何なんだ笑」と思いそうなそれこそが狙いという気もしてきた。
汗だくおじさんの必死さが可笑しくなってきて、やらされてる感に大笑いしながらも、皆川さんすごい!すごいよ~!と、見る人の胸を打つパフォーマンスは、結果とてもカッコよかったです。そしてグループ魂が出てきてアクロバティックな縄跳び。みんなの運動神経のよさに惚れ惚れしました。
この日のために練習したんだろうなという裏側まで感じられて胸アツ。第1部の終わりは、ここまで出てきた方々みんな出てきて「南部ダイバー」熱唱。
そして第2部はグループ魂のステージです。
そうなると第2部のメインはほぼ阿部サダヲさん。
グループ魂の予習はしてこなかったからわからない曲ばかりだけど、ノリやすいものばかりなのですね。
詞が下ネタすぎてしょうもないのは伝わってきたけど(笑)
全作詞宮藤さんなのでしょうか。阿部さんがほんっとカッコよかったです。
阿部さんの職人感には前々から注目してましたが、あの人の姿勢が刺さるほど眩しかった。
普通の役者が100%出してくるとしたら、阿部さんは120%、いや、1000%…。と、ここでカルロストシミの登場です(笑)
いや、笑った。
待ってました。待ち望んでた。
1部でやらなかったから半ば諦めてた。だけど、白く爽やかな長ジャケット着て「ボクはぁ~ニホン語あまりワカラナイ」とたどたどしく登場してきた姿にまた会場大揺れ!
そして始まった「君は1000%」君ハァ~…
(笑)(笑)(笑)
トシミの小刻みな揺れに、お客さんの体が前にかがんで後ろに反って…。しかし声が似てる!
可愛い!と思ったそばから白目むいたりゲスな顔になる皆川さん。
ひでーな…(笑)「職務質問」での阿部さんのマイケル風ダンスは、できればノらずに立ち尽くして見てたいくらいでした。
身のこなしが完璧すぎて。なんとか部とか。
書けないけど。
すごい曲を作るものです。阿部さんがマイクを握ると、主役のはずの港カヲルの存在が急に薄くなる。
でも一度、たぶんあまりに暑すぎてカツラ脱いで、そのときの汗に濡れた髪型がとてもステキでした。
皆川さんって、80年代アイドルの面影残してますよねぇ。
そんな感じが、素の髪型から漏れ出しててちょっとたまりません。阿部サダヲさんの全力で「破壊」を演じる、その何重もの何層にも重なったテクにはもう釘付けだった。
あのステージや笑いの素を企画したのであろう宮藤官九郎さんのセンスと笑いへの貪欲さはとても眩しく。
しかも、人にいろいろやらせといて、宮藤さん自身はギターぎゅいんぎゅいんでかなりカッコイイ(笑)パンフレットの中の松尾スズキさんは、紙面から異常性が伝わるほどだったし。
あと村杉蝉之介さんとか、三宅弘城さんとかも絶妙な役割を完璧にこなされてて。最後の最後、阿部さんと舞台袖との「中村屋っ」の掛け合いとかとか…。
大人計画って、なんてエンターテイメント集団なんだろう。みんなみんな、歯車が適切な方向にギュンギュン回ってる人たち、と感じた。
私もギュンギュン回したいと!だけど皆川さんからもずっしり感じたプロ根性。
→汗だく女子高生姿になっても、ちゃんと内股で踊ってたとこ!
だからきっと違和感なく「可愛い」って思えたんだァ。今日は皆川猿時さん、スタジオパークのゲストです!!
録画予約をして、出かけます。 -
「この世界の片隅に」
映画を見に行ってきました。

もう目が腫れて痛いです。最初から最後の最後まで泣き通し。
自分でも、なんでここでも泣いちゃうんだろうって、そんなとこで。
家帰ってもパンフレット見てまた泣いて。主役「すずさん」の声を務めたのは能年玲奈さん。
今は「のん」さんですね。最初に出てくるすずちゃんはまだほんの子どもなんだけど、声を聞いて、
「わー!能年ちゃんだ!」
ってもう胸がいっぱいに。
だけど「そんなとこで泣いちゃってどうすんだ!」って心のツッコミも無視できず涙はこらえたんだけど、ヘンにこらえちゃったからか涙の蛇口が壊れてしまったようです。なんかもう能年ちゃんから「私は元気ですっ!」って直接報告もらったみたいな嬉しさが広がったんですよね~。
元気いっぱい・躍動感いっぱいの声に、アンテナびびっと反応しすぎて、私の感受性がむき出しになっちゃったみたいです。その幼いすずちゃんの無邪気なセリフのあとに、すがすがしい青空が広がって、それがオープニング。
でも私の近くの男性も、ここでもう涙ぬぐってたように見えた。
おじさん2人。
目がかゆかっただけ?
きっとコトリンゴさんが歌う「悲しくてやりきれない」のオープニングテーマにも、みんな心掴まれたんじゃないかと思います。悲しくて悲しくて
とてもやりきれない…今はまだ無邪気なすずちゃんだけど、お嫁に行った先で、戦時下で、きっとこう呟かざるを得ない、それを一緒に私も体験していくんだなという重さ。
でもとっても美しいアニメーションと、優しい大人からのたっぷりの愛情と、すずちゃんのボーッとしてるキャラクターに、ほんわかクッションみたいに委ねせさせてもらって、そうして戦争の物語が始まりました。すずちゃんは絵を描くことが好きで、おはなしを想像するのも得意で、「あれれ?」っていろんなファンタジーもちりばめられてた。
そこがまず泣けてしょうがなかったです。
バケモノになったお兄ちゃんとワニのお嫁さんのストーリーが特に好きでした。誰にとっても「こども」の部分があって、いったいどこで決別するんだろう。
こどものままじゃこの社会をうまく生きていかれない。
すずちゃんとのんさんに焦がれるほど共感して。
あのころは、顔も知らない人からいきなり「すずちゃんをお嫁に欲しいっておうちがあるよ」って親同士で話が進んでいって、そしてあっけなく決まる結婚は、そう珍しくもなかったのかな。
結婚っていったって「幸福」の色合いはあんまりなく、結局は働き手の一人みたいに、新婚初夜を迎えたって翌朝の5時前には起きて家事・炊事。古い着物を自分でモンペに縫い直すくらいお裁縫がうまくないと、旦那の姉にイビられたりする。
娘時代はおばあちゃんに、「そんなにお裁縫が下手だとお嫁に行けないよ」とおどされる。
「でも行けました」
って、のんちゃんのボーッとしたつぶやきが、ところどころでこの物語の「オチ」となって、本当に数々のオチに救われました。
「あちゃー」って言うギャグっぽい顔が可愛かったです。「私はええです」
って主張しないのが当たり前の嫁という立場だけど、頭にハゲができとるよ…って、久々の帰省で妹に告げられる。
心はもうクタクタ。
だけど実は、お嫁に行った先のお母さんもいじわるな義姉さんも旦那もみんな、「あんたの了解もなしに嫁に連れてきてごめんね」って申し訳なく思ってることとか、「ええです」って言ってきたことがやっぱりそれでよかったんだって思えたような温かさとか、すずちゃんという主役の心だけじゃなくて、一人一人の気持ちも本当に丁寧に丁寧に描かれた作品でした。映画を見ながらただただ願っていたのは、すずちゃんののんびりした少女性、いつまでも何があっても消えないで…っていうこと。
だけど「その日」8月6日へのカウントダウンは、物語の冒頭でもう始まっている。
必ずその日は来るのです。でも呉への空襲のあまりのひどさに、すずちゃんは「その日」まで命落とさずにいられるだろうか?というところもハラハラ。
それに、やっぱりひどすぎる空襲は、誰の身に降りかかってもおかしくない状況でした。
悲しすぎることはすずちゃんの身にも、家族にも。すずちゃんがお嫁に行った先で唯一無邪気な心をさらけ出せたのは、お姉さんの子ども・晴美ちゃん。
ケタケタ笑いあったり、港に浮かぶ軍艦の名前は晴美ちゃんのほうがずっと詳しい。
そんな晴美ちゃんとのラストシーンは、黒地に白いペン先で、線香花火みたいにパチパチと、思い出も愛情もなにもかも詰まったあの描写に、嗚咽寸前だった。
この映画は、1年後とかに地上波で放送されるだろうか。
あんなに悲惨な戦争のこと、はっきり「よくわかってます」って言い切れないのは私だけじゃない。
学校ではほんのちょっとしか教えてくれなかった。
でもそれはどこか大きな戦略のような気もする。
思惑とか事情でコントロールされていって、従うしかない庶民はいつでも地道に工夫してなんとか生きているという状態は、戦時下も今も通じるところがあるように思える。野草をどうにかお砂糖と醤油で工夫して煮詰めたり炒めたり、ごはんをどうにかボリュームが出るように炊いたり、そういうのとかもNHKの帯で貧困を乗り切る特集としてやればいいけど…。
ボーッとしてるすずちゃんだけど、何回か思いを爆発させた。
のんさんの声の迫力に、もみあげあたりがぞぞっとしました。爆発の1つが男女関係のことだけど、色っぽくリアルに描かれています。
それもまた、大人になるために通過する痛み。
18でお嫁に行って、どんな日常もボーッとしつつもこなしていって、周りに傷つけられたり愛されたり、怖い思いをたくさんしたって、とにかく生きなきゃならない。
生きるためにこまごまと、お掃除したり洗濯したり出汁をとったり、自分が伏せってたらお母さんや義姉さんが包帯とか洗ってくれる。
お友達になった人は、遊郭で生きている。
男性陣は飛行機の部品作ったり、その性能が空飛ぶ軍用機で感じられたり、旦那は軍法会議っていう、何してんだかわからないけど国のこれからにかかわる重大そうな仕事をしている。
けどもやっぱり女性たちは、何があったって普通に地道に暮らしを営む。
その力強さが女性の誇りに思えました。子どもがいなくても、慕ってくる幼子に母性は湧いて、その子からシラミが落ちてきたって、ともかく畳きれいにしなきゃいけないんだから。
その子をお風呂に入れてあげたり。
ともかく目の前の暮らしをやんなきゃならない。
明日も明後日も、来週も10年後も。
世界の片隅でひっそり地味に暮らすことが、現代のいろんな華やかさで「いない」みたいに見なされる危機感とか、もう気にしてられないですね。
大勢にとって「いなく」ても、私はここにある。
生きているというだけで、私はすごいんだと思えた映画でした。できるだけもっと丁寧に生きたい。
何を食べて私の肉体・精神ができるのか。
どんな暮らしの中でひそかにいろいろ上達していってるか。
「適当」に生きることはいくらでもできるけど、片隅でも「生きてます!」って堂々生存宣言できるくらい、地道な確かさを身につけたいです。この映画は最後の最後の最後までいろんなサイドストーリーが楽しめるので、館内が明るくなるまで座ってることをお勧めします!
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いまごろ海街diary
録画してあった「海街diary」を見てました。
あの映画のナンバーワンは、私は広瀬すずちゃんと思いました。
3姉妹と家族になりたいんだけど、大事に可愛がられながらもどこか異邦人というか、家族になりきれない心の隙間がすごく伝わってきた。アイスをひざ小僧に乗せて窓辺に座ってるシーンも絵になる。

美少女だったらみんなああいう切ない表情に撮れるものかしら。
心に影があるんだけど、1人で部屋にいるときはサッカーボール抱えて腹筋しちゃうくらいのスポーツ少女。
本当の広瀬すずちゃんの部分もチラリのぞかせてくれたんじゃないかという想像も楽しい。
正直、3姉妹の誰よりも演技が上手いと感じました。
美少女なんだけど、全身映ったときのずんどう感。
まだ中学生(役)なんだということにほっとするほど。
だって長澤まさみさんの肢体ったら、まるで「女の成長見本」みたいで。長澤さんって胸大きいのに、腕も足もウエストもほっそいのですね。
すらーっとした脚がセクシー!
映画の一番最初のシーンは、長澤さんのその脚ヌードからでした。
坂口健太郎さんとの一夜明けからの居眠りシーン。長澤さんが始終髪の毛をかき上げたりいじくってる仕草が妙に気になりました。
気に障りました、と言うほうが近い。
色気が漏れ出ることをためらわない、肌露出の多い服を着てる女性に多い仕草。
田舎町にミニスカート・素足で訪れる。
山にヒールで訪れる人とまるで同類みたいな。
そして喪服でもやっぱセクシーすぎ。長澤さんもまた、そういう傾向の女性をよくわかってての演技なんじゃないかと思えてきた。
もしかしたら漫画で髪さわる仕草が多く描かれてたのかな。
銀行で仕事がちょっとグレードアップして、真面目に仕事に取り組む長澤さんと加瀬亮さんのシーンは、ちょっとTBS日ドラマみたいな等身大の長澤さんが出ちゃってる風でした。
私は食事のシーンの乱雑さが気になったのだけど、それも各々の演技なのかな。
もの食べてるシーンが家族の親睦みたいに描かれてたけど、食べながらの演技が上手な人がいなかったような。
それでもすずちゃんが一番自然だった気がする。綾瀬はるかさんが、不倫相手の堤真一さんにいつも中途半端な「バイバイ」なのも、台詞の中に「アレ」ってところどころで出てくるのも、全部漫画に寄せてるのかな。
だけどきっと漫画をしのいでるだろうシーンが、3姉妹の母役の大竹しのぶさんと、大おば役の樹木希林さん・3姉妹が一堂に会するとこ。ずっと母親を許せない綾瀬さんと大竹さんが言い争うたんびに、樹木希林さんが「この話はもうここでおしまい!」って間に入る。
大竹しのぶさんは「だってしょうがないじゃない」「あたしだって悪いと思ってるわよ」って、その表情のみじめさ。
樹木希林さんは本当に爆発して「もうこの話はおしまい!!」ってぶちきれる。
あそこだけが本当に「家族」の当然のスムーズさに思えた。
喧嘩しても仲良くても、離れていても家族なりのスムーズさがある。
だけど4姉妹でなかなかそれが感じられなかった不足感が、あそこでやっと埋められた気がしたのでした。リリーさんはどんなに温かみのあるおじさんを演じられてても、すずちゃんを見つめる表情はエロオヤジにしか見えないしさ…。
夏帆ちゃんはレキシボーカルの池田貴史さんと本当にお似合いのカップルだった。
釣りの手つき指南のシーンは、本来きっとマニアックな夏帆ちゃんの「らしさ」が出ちゃってたようで可愛かったな。すずちゃんが幸田家に加わってから、あの美人すぎる3姉妹に元々備わってたユーモアや楽観性が引き出された、ように思えたそこを楽しんでたなぁ…と、見終えてからじわじわきたのでした
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南方熊楠なめ子さん
先日、青山ブックセンターにて開催されていた南方熊楠イベントに行ってきました。
南方熊楠もうすぐ生誕150年記念ということで、何回か行われている講義。
辛酸なめ子さんがゲストの回でした。南方熊楠<みなかたくまぐす>っとは・・
1867年に和歌山県で生まれた研究者。
菌とか植物とか、なんかとにかく研究にひたすら没頭する変わり者。
変わり者なんだけど語学に堪能で、若い頃はずっとイギリスへ留学していて、いわば天才。
昭和天皇に認められるほどの…!
でもやっぱ奇人変人エピソードがいっぱいの…。
この「猫楠」によれば…
猫をこよなく愛したという熊楠。
一日中全裸で過ごしていたという熊楠。
胃の中のものを反芻して吐き出す・吐瀉が特技だったという熊楠。
吐瀉物の菌の発生を観察したいから、片付けるなと家人に言いつけていた熊楠。こわ~
そうそう、あと相当スピリチュアルな人だったようです。
なんでも夢の分析にも力を入れていたとか。
しかも北条政子とかローマ帝国のお偉い方とか、昔の夢話の文献まで読みあさってたほど。
この、「昔の文献からとにかく探る」「とにかく比較」というのが、熊楠の研究の特徴のようですね。今回、この講義に参加を申し込んだのは、タイトルに惹かれて。
「辛酸なめ子編 幽霊と妖怪と変形菌と。熊楠がみた不思議の世界」なんてゾクゾクする!!
幽霊まで見えた人とは、初めて知りました。
熊楠の研究を続けてらっしゃる田村義也さんが提供してくれた資料によれば、幽霊は自分の垂直に見えるけど、幻?脳の誤作動?みたいので見える人物は自分と平行の位置で、それで今見えているものが幽霊か幽霊じゃないかを見極める…とのことで…。
それを熊楠とつながりの深かった僧侶との手紙に図解入りで示されていてね。なめ子さんは、その僧侶と熊楠とのボーイズラブを最後まで疑ってましたよ。
そうそう、だって熊楠は奥さんと結婚する前は女性を知らなかったんだけども、男性とは関係を持ったことがあるなんてエピソードがさらっと語られるもんだから…!
なめ子さんがそこをスルーするわけは決してなく…。去年は、なめ子さんと会田誠さんのトークショーを聞きに行きました。
そのときも今回も、決して口数多くないなめ子さんの一言一言で、ドッカンドッカンと会場が沸くのです。
しかもほとんどが男性の笑い声。
じわじわ来るものも多く、打ち寄せては返す波のようなざわめきを巻き起こすなんて、なめ子さんのトークに何が宿ってんだ!?と思うほど。会田さんも、今回の田村さんもそうですが、男性ってやっぱり「オタク」なのですよね。
語り出すと止まらない。
しかも「論理的」っていうのは男性脳特有のものなのでしょうか。
こっち側への「共感」を求める語りではなくて、こっち側が「理解」できるように、それはとても丁寧に語ってくれるんだけど、んーでもだんだん高度な内容に…!そこで、「俗爆弾」を落としてくれるのがなめ子さん。
和歌山県には、南方熊楠についての資料館が2つあるらしく、その2つの違いを田村さんは説明してくださってました。
冒頭は田村さんによる熊楠の概要説明。なめ子さんが初めて口を開いたのは
「その2つの団体は仲はよいですか?」初ドッカンでしたね。
だけども田村さん、「仲がいいかというとちょっと…」というような微妙なお答えでしたよ!「グッズとかも売ってるでしょうか?」
どうでもいいような、でもみんなが待ってたような俗っぽさ。
なめ子さんの和歌山旅行の写真とかもスライドで追いながら説明をされているのですが、温泉とか、ホントどうでもいい写真ばかりってのがまた笑える上に、「混浴」のエピソード。
女性は一応薄い浴衣みたいのを着て入るのですが、男性は真っ裸。
おじさんがいろいろなめ子さんに話しかけてきて、なめ子さんがもう上がろうとすると「なんだ、もう行っちゃうのか…」って。このどうでもいいエピソードで一番会場は沸いてました(笑)
熊楠と関係ないし!!俗だなぁ~なんて俗なんでしょう~。
けどもそこにあるのはワクワクするような「共感」。
ぎゅっと会場のみんなをひとつにしちゃうような。
辛酸なめ子さんといえば、松村潔先生との共著がありましたね。
「人間関係占星術」
もう一回引っ張り出して読んでみたらば、なめ子さんの正確な出生ホロスコープがありました。松村先生も「特徴的」と挙げてたのがなめ子さんの太陽と火星。

前々からなめ子さんは、「書く」という部分が強調されたホロスコープの持ち主なんじゃないかと思ってましたが、やはり!
社会的頂点のMCに、火星と水星が乗ってるのですね。
太陽も近くて、しかもライター素質のある乙女座!松村先生も、「これはワーカホリックになるでしょう」とおっしゃってました。
なめ子さん自身も「霊障」エピソードが多数ある方で、「海王星」と何かがアスペクトしているのだろうと思ったら、太陽と海王星がスクエアなのですね(図には海王星載ってないですが)。
ブログを読むと、「霊障」にそれなりに苦しめられてるようななめ子さん。
でも読んでるこっちはすごく楽しい。
霊障すら「書いて」「発売して」「社会の顔」にしてるなんて!太陽と海王星スクエア。
海王星といえば、現実から「遊離」するようなもの全般。
でもなめ子さんは、つらいはずの霊体験を「売り」にしてね。
これがまさに「惑星をうまく使う」ってことなのですかね~。水星は魚座の木星とオポジション。
ということはICの上に木星があります。
ドッカンと沸かせる「おとぼけ俗感」は、これかっ!
なめ子さんから生で「俗」を感じた時の私の印象はいつも「落としてきたっ!」ってこと。爆弾のように落とす…。
格調を落とす…。
つまりそれが「俗」ってことなんだけど、まさにIC魚座方面になめ子さんは「発言」を落としてたんですね。
・・・なめ子さんに書いてもらったサインを貼り付けようと思ったけど、なぜだかPCに共有されない…。
霊障的な…? -
キーポンあげいん
「キーポンシャイニング歌謡祭」の感動余韻がまだ残ってます。
そしてなんと!
関西でしか放送されていないと思ってた友近司会の「エンカメ」= THAT'S ENKA TAINMENT~ちょっと唄っていいかしら?~ が、TOKYO MX2でも放送されていることを発見!本日土曜の25:30からです。
早速毎週録画予約しました。
あ~今晩楽しみ!!あのエンターテイメントショーの何がそんなに印象に残ってるかというと。
(さんざん感動羅列したものの…)・とにかく「ff」
・とにかく徳井
・とにかく吉本陣のお笑い
・とにかく根本要さんの歌唱
・そしてとにかく千重子(友近)のトーク「フォルティシモ」のイントロに震えた小学生の時の感動を、生で体験できるなんて夢のようです。
そして徳井!
涙が出るほど笑ったっていうその涙は、もしかしたら嬉し涙だったかもなぁと思ったのです。
徳井の本来の面白さをビシバシ感じられてるってことが嬉しかったんだなぁ…。
顔も小さくて本当にイケメンだったし!つまんない話で大爆笑する中年演歌歌手たちね。
どーでもいい話こそが徳井のネタだったですよねぇ。
ヨギータが生まれ変わって六条さんになったような…。こないだのNHKホールでは、2番目の妻との間の子:けんゆう19歳が出てきて、得意だという黒夢の曲を歌ってました。
あの子、誰だったんだろう…。そしてスターダストレビュー根本要さんの歌声。
根本要さんただ一人の声が、あの大きな会場の空気に振動を起こしてね…。
鳥肌が立ったのでした。と、ここでホロスコープチェックです。
友近
太陽:獅子、月:乙女(出生時間9時との情報)
水星:蟹、金星:乙女、火星:牡羊
木星:水瓶、火星:蟹、ドラゴンヘッド:山羊
ASC:乙女、MC:双子友近さんはお母さんが占い師ということで、もしかしたら出生時間とかもわかるかな~?と思ってたら、掲載されてるサイトがあったので参考にしました。

今日の日にちの三重円。気になったのは丸をつけたとこですかねぇ。
ASCのあたりにいろいろ集中してます!もともとネイタルの月がほぼASC上にあって、12室であるし1室であるとも言える位置にある月ってのが、「サブキャラクターでもって仕事をしてる」姿に見えてきます。
そこにP太陽が乗っていて、さらにT木星とTdhまで!
「たくさんの大御所と千重子とのふれあい」
キーポン歌謡祭を表してるように思えてきます。もう一個の黄色丸は、N太陽とP土星のコンジャンクション。
「確立」とか「中年」というイメージ。
P土星が近づいてきた2011~2012年ごろに「大物演歌歌手:水谷千重子」が確立されたのですよね~。
2012年には「歌手生活40周年リサイタル」とかやっちゃって、いきなりの「確立感」。
(今年の50周年記念は、子役時代から数えて…ってことらしい!)そしてやっぱり「乙女」が利いてる人ですね。
乙女といえば「シニカル」。
皮肉たっぷりに、でも切れ味鋭く笑わせるトークができる方と思います。
ツッコミが優れたお笑い芸人は乙女座持ちが多いのです。
「うわ、いややわ」
「おかしんちゃう?」
っていう冷たい目線がすぐに浮かびます。でも太陽は獅子座で、水瓶の木星とオポジション。
ブラックとかシニカルとかで笑わせるだけじゃなくて、ピザ屋のおっさん=西尾一男みたいなことまでして笑わせなきゃ済まないようなところがオポジションっぽいと思うのです。結局、友近は「ダサ」を求めてるのでしょうかね。
それがうっすら感じられたのが、細い赤丸。双子座MCとN蟹土星のオーブ広めのコンジャンクション。
コンジャンクションというよりは、カルミネート星(ホロスコープの頂点)が土星ってことかな。目指すところ(MC)は中年(土星)の「ダサ」
愛らしく(蟹)コミカル(双子)に…。模倣(蟹)も得意ですしね。
人の特徴を乙女的シニカルに見抜いて模倣→キャラクターとして確立。太陽と金星の度数は10度(数え)。
10度は「プレゼンテーション度数」なんですよね。
やっぱ「人前でやってみせたい」
「思ったことは表現しないと気が済まない」のはず。私も「ダサ」が好きでねぇ。
獅子座と蟹座は「ダサ」と親和性があると思うのですよ。白いmyマイク
の、六条さんもまたダッサい(笑)今晩のエンカメでキーポン歌謡祭のことやるかなぁ~。
楽しみです。 -
キーポンシャイニング歌謡祭
昨日、タイトルの「キーポンシャイニング歌謡祭」へ行ってきました。
「あの」水谷千重子芸能活動50周年を記念したイベントです。
なんとNHKホール!とにかく最高でした。
笑いました。
長いしおもしろいしで、ぐったりするほどでした(笑)しかもゲストがまた豪華でねぇ~。
このチケットを買ったときは、確かまだそんなに出演者情報出てなかったような…。
「共演者:八 公太郎 倉たけし 六条たかや 春澪」って、誰も知らん…やばいなぁ…と思ってたのですが。八 公太郎→バッファロー吾郎A
倉たけし→ロバート秋山
六条たかや→チュートリアル徳井
春澪→雨上がり宮迫だったのでした!
なんでも、六条さんまでの3人と千重子は、二葉菖仁という師匠のもとで育った「二葉ファミリー」なんだそうで…。
(知らねー)あと感動ポイントを羅列!
・相川七瀬さんが細くて歌うまくて超可愛かった
・堀内孝雄さんの生センキュー!
・川中美幸さんのほんまもんの演歌堪能&トークがおもしろい!(話しすぎで時間大幅オーバー)
・大友康平さんの生ff(フォルティシモ)!
・六条さん(徳井)のスティングの日本語カバー曲「哀愁のイングリッシュマンインニューヨーク」に涙が出るほど笑った
・まさかの休憩時間挟んでの2部構成!
・松村雄基さんによる「ヒーロー」熱唱
・オネェ演歌歌手、春澪(宮迫)のド迫力の歌声がすごすぎる
・春澪(しゅんれい)ちゃんと千重子の「ロンリーチャップリン」デュエット
・そしてなんたって、スターダストレビュー根本要さんによる「木蘭の涙」に鳥肌・鳥肌!国宝級のお声です!
・サプライズでトシちゃん(田原俊彦)登場!
・アンコールは千重子による「Let it go」熱唱いや、もちろん千重子の歌唱力にもつかまれました。
オープニングは、中山の美穂ちゃんの「WAKU WAKUさせて」「uh uh keep on dancing」
のとこを
「キーポンシャイニング」とこぶし付きで替えちゃうとこからもう会場は大揺れです。あと「365日の紙飛行機」熱唱とかね。
(なんでだって話だけど)
「あさが来た」千重子バージョンのオープニング映像まで!
ちゃっかり豆腐の舞まで、偽オープニングに入ってました。だってアンコールに「レリゴー」ですよ。
あの歌い上げが最後にできるってのはもう、もちろんあの歌唱力があるからこそ、大物歌手たちとNHKホールでこんなイベントが叶ったのでしょうね。あと友近…もとい千重子の芸人としての能力に、もう感動しっぱなしでした。
ものすごいエンターテイメントの場にいることに、ありがたや~という感謝が湧き上がるほどで。川中美幸さんは、千重子との「幻」のエピソード話にノリノリで、たくさんの無茶ぶりをしてたけど、それをしっかり受け止める千重子のアドリブに、NHKホールはまた大揺れ。
なんたって千重子のデビュー曲「万博ササニシキ」の3番と12番?(←川中美幸さんが千重子先輩に刺激をうけたトコ)あたりを即興アカペラで歌ってくれたのだから…。NHKホールって、歓声の反響がすごいのですね!
いや、私があんなに大きなホールで何かを観覧したことがなかっただけなのかも。
ドッカン、ドッカンと沸くあの空気に圧倒されました。春澪ちゃんと千重子の掛け合いもさすがでした。
宮迫さんは、観客を1秒も飽きさせず、「間」の不安さを感じさせずに笑いを繰り出す方。
あと、徳井さんの独特の「間合い」は、宮迫さんと違ってヒヤヒヤするものなんだけど、可笑しさがじんわり浸透してくるセンスをお持ちの方と感じた。お笑いの頂点に立っているというのは、こういうことなんだ!
もちろんゲストの方みんなトークが上手で。何が楽しかったって、すべてに貫かれている「ダサさ」なのでした。
「千重子」
と、まるで巨大はんこでも押したかのようなステージ上のマークとか、千重子オリジナル曲のイントロや詞の古くささ、後半のお衣装は、ステージ上の壁に描かれた模様とおそろいの着物を着てきたり、あと大映ドラマメドレーとか…。
「レリゴー」すらどこかダサくてね。
三味線が響く「レリゴー」なんて初めてだよ。あと千重子の言葉選びとか、いちいちステージを小走りに駆け抜ける恥ずかしそうな仕草とか、ダサいのなんのって…。
でも多くの人がこの「ダサさ」を求めてる。
どういうこと!?こういうステージングをナチュラルにしちゃったらば、イタいってことになっちゃうのだろうけど、なのにこれを逆手に取ることで人気を博すなんて、一体各々どんな心理なんだろなー。
きっとみんなみんな、「ダサい」をこよなく愛してる。
「森の進一ちゃん」
「冠の二郎ちゃん」
って、言いたい!千重子の最後の曲は、千重子初のウエディングソング
「明日、キラキラ」
タイトルだっせー!「結婚式に、ぜひこの曲使って欲しいな」
って言ってたけど(笑)なんだろなー。
「使うわけないじゃん」ってところが見事にひっくり返っての、千重子ベストアルバム「BAKAITTERU」購入の行列の長さなんだからさ!友近は太陽獅子座。
もう、あのエンターテイメント空間は、私の理想なのでした。
何もかもを「擬似」にして、あんなことをやってみたい。
あぁやってみれたなら…。
それをやってしまった人がいるってことのすごさは、また新規の刺激としてグイグイ感じられたのでした。

こないだの「徹子の部屋」では、徹子さんと千重子の息がどうも合ってないように思えたけど、お花届いてて、なんかホッとしました…。
「水谷千重子のよっこいしょブログ!」(閉鎖したっぽい)
・・どんなタイトル…
・・バカいってる… -
「時をかける少女」
昨日深夜に再放送してました。
大林宣彦監督の尾道三部作の一つということはうっすらわかっていても、尾道の町並みがあんなに美しく撮られていることを全く知りませんでした。
住んでみたい!
あんな道のりで通学してみたい!
いつも通りかかる友人の家に温室があったなら!「未来」とか「時空」がテーマの物語に、あの瓦屋根が強調された古い町並みというマッチング。
最初から最後まで、うっとりしどおしでした。♪~ 過去も未来も星座も超えるから 抱きとめて…
映画を観終わった今、この主題歌「時をかける少女」の歌詞がぞわぞわっときます。
涙が出そう。そしてラベンダー。
これまた、この間買ってきてベランダに今置いてあるのです。
植物を育てるなんて、私に最も向いてないことだと思ってたのに、結婚式で友人からブーケをもらってきたときから、植物も生き物だなぁとしみじみ愛らしく思って、勇気出して購入。ラベンダーってまたかわいらしくて健康で。
起きたときにすでに暑いと、茎全員しなしなとうなだれてるんだけど、たっぷりと水をやればあっというまにシャンとする!
そしてあの香りね。
映画の始まりはモノトーンの星空から!
知世ちゃんと尾美としのりさんが高校のスキー合宿らしく、夜のゲレンデで2人星空見上げてる。
付き合ってるわけじゃなくて、幼なじみの2人。
みんなのところ戻らなくちゃって、知世ちゃんがくるっと振り返ったら、こつんと当たった誰かの胸。
それこそが深町くん。あ~映画を観終わった今、このシーンを改めて思い浮かべると涙が出そうです。
「僕に都合のいいように、君に記憶をインプットしたんだ」
のちに深町くんが、知世ちゃん…芳山和子に語った事実。
この映画「みたいな」映画は、きっと他にない!と強く思った。
映画なんてあんまり見ないくせに、断言したいほど。
筒井康隆さんの素晴らしい原作があっての名作というのはもちろんのことですが、やっぱ何もかもが完璧で、「込められている」という丁寧さと、発想が自由で斬新で新しすぎるその挑戦的なところとか、どこかあふれるダサさとかありえなさとか、だけど知世ちゃんのクールな顔だちですべて中和されちゃうんですよね。尾美さんと、深町さんを演じた高柳さんという俳優さんも、ちょっと遠目で見ると一見区別がつかないようなとろんとした二重に丸いお鼻ですが、やっぱ知世ちゃんがそこに清涼感をもたらすんですよねー。
最初は優等生みたいな笑顔ばかりの知世ちゃんだけど、実験室で倒れてからは自分の目に映るものが奇怪に思えて、自分はどこかおかしくなってしまった、普通じゃなくなってしまったみたい…と、怯えたり憂える表情が増えるのですが、この2時間でキョトンとした寄り目知世ちゃん中毒になってしまった!
知世ちゃんが最初に異変を感じるシーン。
朝起きて時計を見たら「9:87」になっていた。こういう「仕掛け」にゾクゾク。
あふれた「普通」に何をどうすればもう「普通」じゃなくなるか。
こんな静的な発想に感動。そしてなんたって、高校生の淡い恋心。
知世ちゃんは深町くんがもう恋の対象なんだけど、でももう一人の幼なじみの尾美さん…吾朗ちゃんにも愛情はある。
授業中いつも寝てるような吾朗ちゃんが、家業の醤油造りに集中してる姿に知世ちゃんは、どんな気持ちを持ったかな。頑張ってるわね…なんて、保護者みたいな気持ちかな。
でも、それが「色気」とまだわからない何がしかを感じたんじゃないのかな。正解はわからないんだけど、和子・吾朗ちゃん・深町くんのほんわりした三角関係が、映画見ながら本当に三角の一片のあっちが光ったりこっちが光ったり、心もデジタルのようなアナログのような、こんなにTVのこちら側と連動させる物語ってあったでしょうかね…。
当たり前だけど、携帯電話なんてないから用があればすぐ出かけていっちゃう。
坂上ったり下ったり、なかなか遠そうなのに。
知世ちゃんは赤い鼻緒の下駄でね!
おしゃれ!
尾道の路地を、カランコロンとな…。
弓道部の和子。
きりりと構える姿は、何を表していたのだろう。
あの知世ちゃんはとても美しい。
あの美しい造作を撮りたかったのかな。そしてやにわに弓を引くのをやめて駆け出して、崖で植物採集している深町くんのところへ「来ちゃった」という知世ちゃん。
あの崖のシーンは、すごかったです。
「えーっ!?」
という唐突さがいっぱいで、「あぁ昭和だな」というちょっと照れくささと、でも「これしかない」というような、こういうのを超えるものはもうないんじゃないのかなという決定感。前世のお話ではないんだけど、ヒプノセラピーを受けたときの感じがちょっとよみがえってきて、2度目の実験室のシーンでは泣けてしょうがなかったです。
「さかのぼる」
という感覚が、自分のどこかは覚えてるんだけど、主である私は思い出せないみたい。
でも、体のどこかが何かを思い出したがっていて、”会いたい”みたいな引っ張られる感覚が、思い出せそうな、でもあきらめるしかないような…。和子の深町くんへの想いは確かに真実なのに、それすらインプットされた記憶だなんて言われたら…。
それが消えたら自分はどうなってしまうのだろう。
記憶は消えても空虚な気持ちだけが残って、愛した人すら忘れてしまう?
でも深町くんは、最後に「証」を和子の頬になすりつけた。あの黒いものって一体なんなのだろう。
瓦屋根ばかりの町を駆け巡る和子の下駄の鼻緒の赤さとか、険しい崖のあちこちから顔を出してる真っ赤な花とか、うっそうとした温室の中のラベンダーとか。
ひっそりとした色の対比がすごく好きだった。
クライマックスの「色」は、知世ちゃんの頬にべっとりついた黒いもの。
「未来の薬草博士」である深町くんは、何かとっておきの薬草でも、なすりつけたのだろうかな。
ははぁ~!
よくわからないけど、このシュールさもまた、「他にはない」なんて思っちゃう。
あるんだろうけど、私の世界にはないのです。このときの記憶を、大学院生になった和子は覚えているのかな、もう失われているかもしれません。
「私はなんでこんなに薬草の勉強に邁進しているのだろう」
そんなセリフはどこにもないけど、薬学にこだわりすぎて婚期も逃しつつある自分にちょっと疲れてるような陰ある知世ちゃん。
「一体どこから薬草への熱意がこんなに湧いてくるのかしら」
こんなセリフもないのだけど、実験室を出たところで誰かにそっくりな男性と、こつんとぶつかりそうになる知世ちゃん!
緑とかピンクとか、カラフルな本をたくさん抱えて、そんな鮮やかさと、「あの人…?」っていう、高校生のころのようなまぁるいキョトンとした寄り目表情を一瞬見せて、物語は終わり。
ユーミンの作った「時をかける少女」の詞も曲もまた、なんて素敵なんでしょう。
物語の不思議さと、主人公・和子の恋心にぴったり寄り添っている。
映画を見ながらずっと切なさが途絶えなかったのは、音楽監修が松任谷正隆さんだったからかもね!
実験室での旋律が、特に切なくて好きでした。こんなに誰にでもわかりやすくて、こんなにもありきたりでない映画って、やっぱりもう出現しない気がします。
今は何もかもがデジタルすぎて。
アナログな世界から未来や時空を語るという独特の時代。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」とか「2001年宇宙の旅」が今でも多くの人のナンバー1映画なのも、そういう憧憬があるのかな。「時代を遡る」という物語を生み出す人は、その人自身が前世の何かを思い出そうとしてるのかな…と思えたり。
人の創造性って、それがどこから来てるかなんて誰もわからないんだけど、突飛なのに多くの人に受け入れられて愛されてる作品を生み出す人は、きっと誰にも共通して流れる「川」の記憶を表わしてくれたということなのかもしれません。
「わーおもしろい!」
だけじゃすまない切なさは、もしかしたら誰しも何かを思い出したくて思い出せそうな「ウズウズ」なんじゃないのかな。 -
「夢と旅の世界」
引っ越しの日が迫ってます。
部屋の中はいよいよ段ボールだらけ。
なのに本やらCDやらまた買ってしまった…!
本屋でたまたま見つけて、「紅い花」も掲載されてることを知って購入しました。
「紅い花」って、昔NHKでドラマが放送されてたのですよね。
本放送は1976年なので、私が見たのは再放送。
録画もして、今でも実家のどこかにあるはず。
保存版にしたのは、つげ義春作品と知っていたからだろうかな。出勤の地下鉄内で読むためにカバーを外したら、カバーに隠れてた1ページ目が「紅い花」のこの子だった!

キクチサヨコ
かぁいぃ~「夢と旅の世界」の表紙は、代表作「ねじ式」の1コマ目。
メメクラゲに腕を噛まれたという…。この物語は、つげ義春さんの見た夢のお話だったとは知りませんでした。
つげ義春さんは、そのほかにも見た夢をマンガのストーリーにされることが多かったようですね。
なんの脈絡もなく不気味な情景や台詞が出てくるゆえんが少しだけわかった気がしました。そして圧倒的なエロ。
結局、地下鉄で読めたもんじゃありませんでした…。どの少年も、どの中年も、どのおばさんもお婆さんも、登場したばかりのタッチはひどく醜く感じるんだけど、読み進めていくうちに彼らの顔が近隣の人みたいに当たり前に感じられてくるのです。
そして彼らの肉付きとか、「コマ」から醸し出される不気味さからは、これから起こるいろんな気配が伝わってきて、男と女がいれば性が噴出するのだという当たり前のような展開と、でも、リアルなのに私など知りようもない男女の誘い合いの未知感に、こえぇ~よ~と怯えながらもゾクゾクさせられます。
この本の中でつげ義春さんは、ロングインタビューに応じられています。
リアリティをとことん追求された方。
「あるがまま」を。その「あるがまま」を説明されるのに仏教の考えを述べられるつげさん。
「自己を忘れ無我になる。」
「夢は、眠ることによって目覚めているときの自己が消えて無我の状態」なのだと。
つげ義春さんは、1987年つげさん50歳のときから新作を出されていません。
「社会的な枠組みから外れた乞食のように、やがては自己滅却して神の国へ…」という生き方に憧れるというつげさん。
修道院の世界に憧れ、そして奥様の死でうつ病になり、「人間の精神は薬で治せるものではない」というところにたどりつくつげさん。
旅をたくさんされて、しかも秘境のような温泉ばかり。
いまはどの温泉もレジャー化していることで、ますます行く場所がないように思われているようで。「朽ち果てる」ような生き方を望まれているのではないかと、山下さんはおっしゃる。
2回家出をしたことがあるつげさんが語られる「蒸発」の世界に、吸い込まれそうだった。
誰しもが一度は憧れる行為じゃないかな、蒸発。
誰も知らないところに行って、自分の過去を消すように生きて・・。
過去を消すことができたらどんなにいいだろうかと思ったことは何度かあります。
生き直したい、生き直したい。
どんなときに思ったっけな。
やっぱり仕事関係で疲れてたときかな。
何かに執着がなくなったら、「あの人は頭がおかしくなったらしい」そう思われればいろんなことから楽に逃げられると、いろいろ画策するかもしれない。
だけど、それを自分に許さないのは、社会性なのかな、それとも良心みたいな部分か。「堕ちたい」「棄てたい」
読むほどに、じわじわ・ちょびっと浮かんできたりする。
だけどそれは、顕在意識だか社会性だかが、普段の生きやすさのために必死で無意識化に押し込んで、絶対出てこないように押し込んで。
でも「夢」は、それが衝撃的に謎めきながら展開する場所!
それを作品にするなんて、素敵だなぁ…。つげ作品にただ惹かれるってだけで、全然多くを知らないです。
この本に描かれてる物語や一部の挿話だけ読んでも、何かが伝わってくるわけではない。
伝わってこないというのは、つげ義春さんが別に何も訴えようとしてないからだと思う。
伝わってこないのに感動するのです。誰かと論じようという気にもならなくて、そして何度も同じページを読み返したくなる。
TVも政治も雑誌もデパートも何もかもが嘘で、リアルはここにしかない。と、思いたいのかも。
明日は牡牛座で新月です。(13:13)
すぐボイドタイムに入っちゃうけど。せっかくだからこの新月期は、「わたしのリアル」を感じてみようかな。
明日の夜に月が双子座に入ったら
「情報!情報!」って、リアルも虚構もごったまぜの世界を明るく軽く楽しんだりするのだろうから…。 -
「もっと泣いてよフラッパー」
先日、松たか子さんについての記事を書きましたが、その日から程なくして「もっと泣いてよフラッパー」の優待割引案内メールが届きました。
この舞台、音楽は松さんの旦那さんの佐橋佳幸さんが手がけられているというし、松尾スズキさんも出演されている!
かねがね松さん主演の舞台を見たいと思っていたし、しかも佐橋さんの奏でる音に乗って歌う松さんが見られるとは!
そして、やはり前にこれも記事で書いたことのある「松尾スズキさんが舞台で演じられるお姿を見たい」という、なんだか一度に3つくらいの夢が叶ったような興奮を舞台前から抱いていただけに、観終わった後の心境としては、とってもとってもスペシャルな一日すぎて、これはいったい何なんだ!?ということでした。
作・演出・美術を手掛けられたのは串田和美さん。
私は野田秀樹さんの舞台は何度か見に行ったりBSで見たことあったりして、あと中村勘三郎さんのこともすっかり大好きになって。
このお2人に触れるといつでも串田和美さんという方の存在が意識されるものの、TVドラマで「演じられる」お姿以外の、本業である「演出」になかなか触れる機会がなかったため、知ってるんだけど全然知らない状態だったのでした。舞台で一番最初に出てくるのは串田さん。
その身のこなし、手や足や首の角度や、声の張りや抑揚、もうとにかくすべて、「うまい、うますぎる」と。
私も人生でどれほどのお芝居や役者を見てきたともとても言えない身なのですが、「こういうことか!」と、
何か真実・本物を「見せられた」ような、それはそれはインパクトのある「つかみ」なのでした。それは松たか子さんが出られたときもそう、松尾スズキさんが出られたときもそう。
舞台上の役者さんみんな「そう」なのですが、特にこのお三方は、その細かい動作ひとつも見逃したくないと思わせるほどの吸引力を感じました。
松さんはねぇ、最初は男装して出てくるのですが、まぁキュートでした。
松さんに「ぼく」と言ってもらうプレイがあったら、ハマってしまいそうです。
男装姿でコミカルに踊るシーンの、また動きの細かさ!
ザ・職人、と思いましたよ。
(松さんは金星火星が牡牛座ですが、まぁ牡牛座は職人気質なのですよねぇ)本当は女性なので、後半はドレス姿になるのですが、ああいう男性のキャラクターのままでまた別の物語があったら楽しいだろうなぁと思いました。
なんといっても楽しみにしてたのが松さんの歌。
思ってた以上の声量と美声に、ドカン!とやられました。
でんじろう先生が、たまに実験で空気の塊みたいの送るやつやってますが、本当にあんなぐらいの空気が届けられた気がしましたよ。
空気砲っていうんですか?伸びがねぇ~本当になんて清涼感のある…。
そして伴奏が佐橋さんですよっ。
うっとり・・・なんかもう、夫婦で同じ作品に携わることの幸せを、まるで自分が松さんの一部にでもなったかのように「あぁ幸せなことよ…」とずっと感じてました。
100%全力で仕事してる情熱を互いにぶつけ合えるって、なんて心強いことなのだろうと、そこにすごく感動したのです。
そういうの、夢だなぁと。
そして松尾スズキさん!
あぁ~もうあのクネクネした動作!
体の芯、どうなってんだろう?と心配になるほどの柔軟性で、でもずるいくらいにカッコいい!!
「若造に出せない色気」を、むぉんと感じ…。なんでだろう、なんでだろう。
だってあんなクネクネなのに…。
色も白いし、目も妖しいし…。でもたぶん、ほとばしる「適当さ」に生命力感じてんのかもしんない。
柔軟だなぁ~自由だなぁ~と。
(松尾さんは太陽射手座で、柔軟宮だし自由の星だしね…)あー…もう本当に生で拝めて感激です。
あともう、鈴木蘭々さんのお歌も素敵だったし、石丸幹二さんも声量・その響きに「かぁ~!」と、うっとりでした。
そして片岡亀蔵さんです。
この方のピエロの衣装。
なんだかそのお姿に泣きそうになるほどでした。
ほとんど表情のわからないメイク。
動きも少ないし。
表現してるのかしてないのかわからないその表現に、胸を打たれました。
そういう役者さんって、いらっしゃるのですね…。まだ男装姿の松さんの語る「モモンガの話」にはすんごく引き込まれました。
なぜか、一番このとき泣きそうで。
モモンガが、自分の一面にも思えたのかなぁ。
松さんの少年っぽい語り口が、モモンガを連想させたのかなぁ。
とにかくこの男装・松さんに惹かれっぱなしだったのでした。でも踊り子になってからの松さんもまた、色気あり・無邪気さありで、松さんって、目を離せないほどのまっすぐさをキラキラ放つ方ですよねぇ。
明るい無邪気風なんだけども、タバコを吸う仕草がカッコいい!!
かーっこよかったです。
女ってさ、いろいろあるわよね…。
そんな包容力が、楽しかった。私は「表現」を見ている。
松さんの表現、松尾さんの表現、串田さんの表現。
役者さんや演奏者それぞれの表現。いま、それを見ている、受け取っているんだというその意味は何なんだろうなと、大きな感動や興奮を感じると、受け手側もただ「感じる」のみで、思考など働かなくなるのかもしれません。
でもこんな大きな感動。
自分にとって「何か」なんだろうなと思うし、そう思いたいです。ただ「楽しい」だけじゃなくて、
憧れや羨望や距離感や衝動。そんなエンターテイメントはいくつも目にしたけど、私そこから何かを吸い取れてるかなって、「元気」とか「商業」とかを差し引いて残ったもののことを、今夜は考えてみてるのでした。
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「東京家族」
今日、放送してましたね。
「東京家族」山田洋次監督の映画では、いつも涙腺が緩んでしまう。
最近では「母べえ」とか「おとうと」とか、
あと「学校」シリーズ。
特に「学校Ⅱ」ですよねぇ。
永瀬正敏さんに泣きました。
吉岡秀隆さんにもね。「東京家族」は、物語の中にそんなに色々事件があるわけではなく、ずいぶん淡々としたストーリーで、一体何に泣けたんだか、きっと次に見たときには思い出せないようなところでほろっと来た気がする。
山田洋次監督という人が描く物語は、世間でつまはじきにされてる人にいつでも寄り添っている。
「ばかじゃないの」「面倒くさい人だ」
そんな冷たい視線を浴びせられる人の
「へへっ…」ってバツの悪い照れ笑いとか、本人も気づいてないようなキラリ光る純粋さとか、それをいろんな情景や人と対比させて浮かび上がらせるのがとても上手な方。不器用だけど実直に生きてる人。
山田洋次監督の描くそんな人が大好きです。妻夫木聡さん、光ってたな~。
妻夫木さんを初めて見たのは「カバチタレ!」で、その役がまたよくてね~。
若手俳優の中でも特に好きな方ではあったけど、それ以降どれもハマってる!と、いまいち思えなくて。あ、「ウォーターボーイズ」はよかったです!
あれは平山あやさんもよかった。
あと「ジョゼと虎と魚たち」
これはもう妻夫木さんの代表作であろうと思います。
ってか、もしかしたらこれを超えることが難しいという思いが、妻夫木さんの中にも少なからずあるんじゃないかなと時に思える。
あ、「ランチの女王」はよかったわ!
すごくよかった。
あるある、結構ありました。
ハマってる役と、そうでない役が極端なのかなぁ。
ま、すべてチェックしてるわけでもないけども。妻夫木さんは、本当にそうなんだと思うけど、「いい人顔」で、あと存在がメジャーすぎて。
だからか悪役とか、おバカすぎる役が私はあんまり好きじゃない。
でもこの「東京家族」ではピタッとハマってた。
山田洋次監督の演出に合ってるのかな。
それに、やっぱり「妻夫木君」は社会の波に乗り切れないナイーブな役を演じるのがとっても上手い方なんだろうと思う。要領がよすぎても気弱すぎても多分だめで、この「しょうちゃん」という役が、程よくダメで程よく優しくて、それなりに現代っ子で、きっと山田洋次監督が求める「しょうちゃん」像を正確に演じられたんだろうなぁと感じました。
そういえば、おととし見に行ったNODA・MAPの「エッグ」でも、妻夫木さんと橋爪功さんって共演されてました。
この舞台、かなり難解でついていくのが大変だったのですが、妻夫木さんは超楽天家の私の好みではない役(笑)
舞台で輝き放ってたのは、橋爪功さんだったなぁと思い返されました。
一番お年なんだけど声量がすごくて、色気があった!
大倉孝二さんもかなり存在感あったな~。
あと仲村トオルさんの胸板の美しさは芸術品のようだった!そんで橋爪功さんは映画で、東京に慣れてない役がもう本当、「そういう人」でした。
おじいちゃんって、受け止めきれないほどの情報を得ると、ああいう顔しますよね。
常に口開いて「かぁ~…」って吐息が漏れ続けてるような。
感動してんのか?って様子もよく読めないような。
聞くと、「うん、感動した、うん」って口すぼめて言うんだけど。
自分の父親の晩年が思い返されました。林家正蔵さんのこにくたらしい役も笑えたな…。
「僕ばかだもーん」って自分で言っちゃうようなとこが腹立たしいけど、愛らしくもある。
でも素直、人は良い。
「めんどくせ、ケケッ」
みたいなことを言っちゃうんだけどね、中嶋朋子さん演じる奥さんは特に反応もせず。
東京の人の優しさって、とある世代とか出身地の方からすると冷たいように映るかもしれないけど、ま、ちょっと薄情かもねってなぐらいで、優しさは誰にでもそれなりに備わってる。
移り変わりの激しいこの街で生きるからには、浸ったり思い至らせたりするのにも「ロス」を勘定しちゃいがちで、
「で、どうする?喪服とか」
と、気持ちの切り替え早く、なんでもさっさと手続きしないと、だってどんどん遅れちゃうから、時間に…。寅さんは今もういないけど、でも「寅さんだったらきっと…」なんて思いを馳せたりする人が結構いるんだから、山田洋次さんも渥美清さんもほんとすごいお方です。
山田洋次さんのホロスコープを見てみると、乙女座に星が多い方です。
太陽・水星・金星・海王星が乙女座。
乙女座が強調されてる方は、やっぱり世間から取り残された青さとか屈折を抱く人をとても見事に描かれる。
宮藤官九郎さんも乙女座に金星と冥王星があって、乙女座が強調されてるホロと言えます。
私のかすかな夢として、もし子どもを育てることがあったら、将来、山田監督や宮藤さんみたいな大人になるように接したいというのがありまして、ヘンな夢だけど、でも、自分が自分の成長できない部分をいつまでも大切にしたい、なんて思い返されるからかな、お2人の作品に触れると。あと山田監督の作品は、俳優の背後に映る、日常生活を営んでる人の描き方もお見事!
ただ通り過ぎるだけ、ただ犬と戯れてるだけ、ただ洗濯物干してるだけなのに、
そこに感情があるのかないのか、
「関心がない」ということの残酷さとか、自分以外の人はこんなにも幸せそうに見える、とか、想像力を刺激されるのです。あと子どもの甘え方とかね~。
あれは監督の演技指導がたっぷり入ってたりするのでしょうか。
入ってるならそれでもよい。
だってあの男の子の甘え方は本当に「そんな感じ」で、自分の幼いころ思い出してはにかんだりしちゃうほど。こう長々と書いてると、やっぱりどこで泣けたのかもう忘れつつある。
吉行さん演じるお母さんが、次男のしょうちゃんと他愛ないお話ししてる時の「うん、うん、それで?」って好奇心とお茶目さあふれさせた感じとか。
で、その感じがまたあとあと思い出されてきたりとか。
なんだかんだいろんな人に愛されてる「しょうちゃん」とか。結局、「しょうちゃん」こと妻夫木さんに惹かれっぱなしだったってことで。
あ、でも正蔵さんが取った明け方の電話での感じとかも、その「よくある・ありうる日常」は、なぜだか胸を熱くするものでした。冥王星が蟹座にある山田洋次監督の作品は、いつでもハートフルで、誰のルーツも基本も家族にあることを教えてくれる。
「実」でも「虚」でも「仮」であっても家族みたいなコミュニティはやっぱり重要なんだなと、心が正しい落ち着きに戻っていくような作品を作ってくれる貴重な方です。
